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前距腓靭帯損傷・足首の捻挫【マラソン・ランニング障害】 

米国では毎日2万人以上の人が足首を捻挫(ねんざ)しています。それだけポピュラーな外傷なだけに『捻挫なんて放っておけばそのうち良くなる』なんて考えている方もいるでしょうが、近年のレビューでは、5~33%は受傷1年後も痛みや不安定感が残存し、3~34%は一年以内に再受傷するとされています。

足首の捻挫では多くの場合、外側の靭帯(外くるぶし周囲)を損傷します。そのうち約85%が前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)の単独損傷で、約20~40%が前距腓靭帯踵腓靭帯(しょうひじんたい)の複合損傷であり、踵腓靭帯の単独損傷や後距腓靭帯(こうきょひじんたい)の損傷は非常にまれです。

前距腓靭帯が破綻した後、さらに強いストレスが加わると交通線維によって連続している踵腓靭帯が複合損傷(巻き添えを食らう)します。

足首の靭帯は意外と知らない内に断裂している事があります。断裂していなくても伸び切ってしまえば靭帯として機能しないので同様です。

例えばプロのバスケットボール選手を10人集めれば5人程は左右どちらかの靭帯を断裂していたり、自分も右足の前距腓靭帯を断裂していますが、いつ断裂したのか記憶が定かではありません。断裂していても普通にランニングはできているので問題もありません。
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※MilnerとSoamesの報告では前距腓靭帯は約50%が二分し、約30%が三分していると述べています。

一般的には下図の様に“内返し”する事により捻挫します。トレイルランニングでは石や木の根っこに着地した際、バスケットボールやバレーボールでは他の選手の足の上に着地した際に捻挫する事が良くあります。
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症状

圧痛が外くるぶしの前下方、下図にあります。軽症であれば歩行は可能ですが、重症では歩行時の痛みが強く跛行(はこう)が見られます。受傷の数時間後から外くるぶしの周囲が腫れてきます。皮下出血斑は受傷直後には確認できず2~5日後に踵や前足部に出現することもあります。

同じ捻挫でも程度により、足首が確認できないくらいパンパンに腫れる方や、見た目にはほとんど腫れが分からない方まで色々です。
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応急処置

腫れの程度にもよりますが、受傷後24時間~72時間は1日4~5回の20分冷却(アイシング)を継続します。寝ている際には不可能なので消炎鎮痛作用のある湿布を貼り炎症物質が作られるのを防ぎます。

またテーピングやサポーターなどでしっかりと圧迫固定することで腫れを抑えます。個人的には圧迫固定が一番重要だと考えています。夜間も行いましょう。サポーターはザムストのA1が一般的です。足首の短いものと長いものがありますが、長い方が安定・安心感がありおすすめです。

特に腫脹や痛みが強く、荷重不能な例では10日間程度の短期間のギプス固定による良い成績が報告されています。

ギプスを外した後にサポーターをするにしても、初めからサポーターをするにしても修復靭帯の強度が再獲得されるまでの6週~3ヶ月は装着を継続します。スポーツ復帰後も再受傷予防のためにしばらくはスポーツ活動中も装着します。
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スポーツ復帰までの期間

アメリカの高校生における調査では、新鮮足関節外側靭帯損傷の52%は受傷後7日以内にスポーツに復帰しており、22日以上を要したのは10%でした。しかしこの調査では全体の83%は靭帯の不全断裂です。

初期の歩行時痛や腫脹が強く、皮下出血斑が見られる症例ではスポーツ復帰に2~3か月を要する例も多数あります。

つまり『捻挫は○○日位で治る』とそんなに単純ではなく、結局は程度の問題です。

適切な治療が行われないと足首の不安定性(グラグラする)が残存したり、可動域制限(正座ができなくなる)などが残ったりします。

30秒ほど片足ジャンプを行って痛みがなければ復帰が可能です。着地の際に痛みがあれば無理のない範囲で段階的に復帰します。

最近の医学論文ではギプスでの長期の固定(6週間)では半数以上に愁訴(患者が訴える症状)が残存し、逆に簡単なサポータでの固定と早期から痛みのない範囲での可動域訓練や運動療法を開始する方が愁訴の残存が少ないと報告されています。

裂離骨折の合併

若年者の場合、靭帯の損傷よりも裂離骨折(れつりこっせつ)の割合が高くなります。小児では、前距腓靭帯付着部の骨端軟骨の強度が足関節外側靭帯の強度に比べて弱いためです。靭帯が断裂するより先に骨(軟骨)が裂離します。

前距腓靭帯は腓骨と距骨の2カ所に付着していますが、腓骨側付着部は靭帯が狭い範囲に集中して付着しているため強い力学的ストレスにさらされているため、裂離骨折のほとんどは腓骨側で起こります。

内返し捻挫による年齢別の腓骨裂離骨折の割合10歳以下(77%)11~14歳(19%)15~18歳(13%)となっており年齢が低いほど靭帯の損傷よりも裂離骨折の割合が高くなります。10歳以下はまず裂離骨折を疑います。

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前距腓靭帯のエコー画像

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正常な前距腓靭帯は腓骨(外くるぶし)と距骨の間に斜めに走行している様子が確認できます。
前距腓靭帯・ATFL・足首捻挫・エコー 

前距腓靭帯が損傷すると新鮮例では靭帯が腫れたり、蛇行したり、陳旧例では何も描出されず確認ができません。下図では骨の上の軟部組織もかなり腫れています。
前距腓靭帯・ATFL・足首捻挫・エコー  

それでは自分の前距腓靭帯を描出してみます。まずは左足。無事に残存しています。
足首の捻挫・前距腓靭帯損傷・断裂 

次は右足。実質部で綺麗に断裂しています。靭帯の腓骨付着部と距骨付着部とも骨の表面が滑らかではなくボコボコ不整像が確認できます。ランニングの着地の際、右足だけオーバープロネーションが強いのですが、もしかして前距腓靭帯の機能不全が原因?
足首の捻挫・前距腓靭帯損傷・断裂 

下図は左足と右足を2画面分割で表示しています。
ATFL tear echo 
靭帯は受傷直後は腫れて肥厚しますが、時間が経過すると菲薄化します。

下図は腓骨(外くるぶし)の裂離骨折のエコー画像です。
腓骨裂離骨折・剥離骨折・捻挫・os subfibulare 
※Os subfibulareは
成長期の捻挫により靭帯付着部の軟骨が裂離し、成長後に骨化した副骨。小児の1%に存在。
os(骨)・sub(下)・fibulare(腓骨側)ラテン語


下図は脛骨(内くるぶし)の裂離骨折のエコー画像です。
三角靭帯損傷・内果裂離骨折・ossubtibiale 
※Os subtibiale。os(骨)・sub(下)・tibiale(脛骨側)ラテン語

下図は距骨の裂離骨折のエコー画像です。
距骨裂離骨折・剥離骨折・捻挫 

レントゲンでは映らない靭帯や軟部組織の損傷はエコー検査で確認可能です。
また炎症の有無もドプラ機能で確認可能です。

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マラソン・ランニング・ジョギング障害!

参考文献
篠原靖司.足関節外側靭帯の解剖と機能.関節外科 2014;33:10-14
亀山泰.足部・足関節捻挫の救急対処法.関節外科 2014;33:58-63
山口智志.新鮮足関節外側靭帯損傷の診断と治療.関節外科 2014;33:64-69
笹原潤,高尾昌人.残存靭帯をどう診るか.Orthopaedics 2017;30:7-14
吉村一朗.保存療法と手術療法をどう使い分けるか.Orthopaedics 2017;30:29-33
森本将太,安井洋一,宮本亘.小児足関節外果裂離骨折の評価および治療.Orthopaedics 2017;30:49-54
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市民ランナーが怪我をしやすい部位 

某治療院を受診した市民ランナー直近100名の初診時の受傷部位を集計。
部位人数
腸脛靭帯(ランナー膝)32
ハムストリングス7
後脛骨筋(内くるぶし)6
膝関節(PF関節含む)5
臀部(おしり)4
アキレス腱4
足底腱膜4
前距腓靭帯(足首のねんざ)4
内転筋3
鵞足3
膝窩部3
膝蓋腱2
膝関節水腫2
膝関節滑膜2
腓腹筋(ふくらはぎ)2
腓骨筋(外くるぶし)2
足関節2
総趾伸筋2
鼠径部1
大転子部1
大腿四頭筋腱1
膝関節タナ障害1
膝蓋骨1
膝関節ロッキング1
脛骨疲労骨折1
母趾種子骨1
母趾MTP関節1
長母趾屈筋腱1
第5中足骨1

個人的感想としては3人に1人が腸脛靭帯なのは予想通りの結果です。腸脛靭帯は32名中、右側16、左側13、両側3とそれ程左右差はありません。

直近の100名なので本来なら沢山いるはずの部位でもその時期にたまたま来院がなければ少なく集計されています。

膝の痛みは分類できるものは細かく分類したので少なくみえますが、膝関節周囲の痛みを1つにまとめると腸脛靭帯に次ぐ数だと思います。

ふくらはぎの肉離れなんかは沢山来られている印象でしたが、意外と少ない。

確かに考えてみると市民ランナーよりもテニスやバレーボールで負傷してこられる方が圧倒的に多いです。

これが市民ランナーではなくて、実業団や学生などを対象にするともう少し疲労骨折などが増えるのかも。


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腓骨筋腱炎・腓骨筋腱鞘炎【マラソン・ランニング障害】 

特に足首を捻じった訳でもないのに外くるぶし周囲に痛みや腫れがある、もしくは足首を捻挫(ねんざ)した後に外くるぶし周囲に長引く痛みがある場合、それは腓骨筋腱(ひこつきんけん)の障害かもしれません。主に下の図の○部分に痛みが現れます。

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:腓骨筋腱断裂・腓骨筋腱脱臼・亜脱臼
:腓骨筋腱炎・腱鞘炎・腓骨筋滑車症候群
:短腓骨筋腱付着部症


腓骨筋とは

腓骨筋は下腿の外側の上の方①から始まる長腓骨筋(ちょうひこつきん)と下の方②から始まる短腓骨筋(たんひこつきん)の二つがあります。(細かく言えば第3腓骨筋や人によっては第4腓骨筋(5~21.7%)がある)

長腓骨筋が表層に、短腓骨筋が深層に存在します。それぞれの腱は外くるぶしの後ろを通り短腓骨筋腱は第五中足骨に停止し、長腓骨筋腱は足底を通って内側楔状骨と第一中足骨に停止します。
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腓骨筋腱は下図の①上腓骨筋支帯(じょうひこつきんしたい)と②下腓骨筋支帯(かひこつきんしたい)と呼ばれるバンドのような組織で押さえつけられています。また腓骨筋支帯を通過する前には③腱鞘(けんしょう)と呼ばれるトンネルの中に入り込み周囲との摩擦を軽減します。
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腓骨筋腱の障害の種類

腓骨筋腱の障害には様々なものがあります。主なものは腓骨筋腱炎・腱鞘炎・腱断裂・脱臼亜脱臼付着部症などでしょうか。

原因は運動時の内返しや外返しの繰り返し動作や足首の捻挫に合併したり、また足首を捻挫した後に関節が緩くなりその状態でランニングを続ける事で発症する事も多いようです。(慢性の足首の外側靭帯不全(関節が緩い)で手術を試行した患者の77%に腓骨筋腱腱鞘炎がみられたとの報告もあります)

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腓骨筋腱炎・腱鞘炎
時に上腓骨筋支帯と下腓骨筋支帯の間に腱の肥厚(一部が膨らむ)がみられます。腱が肥厚すると下腓骨筋支帯の部分で通過障害を起こし痛みが出ます。


腓骨筋腱断裂
ほとんどの場合、短腓骨筋腱に縦断裂が起こります。短腓骨筋腱は骨と長腓骨筋腱に挟まれているために余裕がありません。手術を要した腓骨筋腱障害の患者では短腓骨筋腱では88%に縦断裂がみられたのに対し、長腓骨筋腱では13%であったとの報告もあります。

ただし腓骨筋腱の縦断裂は日本人の屍体標本による検討では、112足中42足(37.5%)に縦断裂を含めた短腓骨筋腱の病変を認めたとの報告もあるため、短腓骨筋の損傷は臨床症状がなくても比較的高率に存在するようです。

腓骨筋腱脱臼・亜脱臼
ほとんどの場合、長腓骨筋が外くるぶしを後ろから前へ脱臼します。頻度は非常にまれです。また常時脱臼しているわけではないので見逃されやすいのですが、足首を甲側に曲げた状態で外くるぶしの後ろから指で前方に腱を押すと脱臼が再現できることもあります。
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腓骨筋腱障害の症状

外くるぶし周囲の疼痛
圧痛(押すと痛い)
腫脹(腫れている)
着地動作時痛
引っかかり感
脱臼感
内返しのストレスで痛みがある
運動をした翌日の朝一番の痛み(first-step pain)

検査

MRIやエコー検査が有用です。ただしほとんどの場合は症状や所見で判断できます。
その他、徒手検査では下記のものが提唱されています。

Peroneal tunnel compression test
患者を診察台に腰かけ下肢を下垂させ、検者の母指で上腓骨筋支帯を圧迫し自動背屈・外反させ疼痛を誘発するテストで、轢音も触知される。

鑑別すべき疾患としては前距腓靭帯損傷・踵腓靭帯損傷・二分靭帯損傷・腓骨や距骨剥離骨折・第5中足骨骨折・足根洞症候群・踵骨前方突起骨折・踵骨疲労骨折などでしょうか。

保存治療

まずは安静が必要です。(できないランナーが多そうですが)しかし痛みを我慢して運動を続けると確実に悪化します。オフシーズンであれば思い切って2~6週くらい休足しましょう。その間はエアロバイクなど痛みがでない運動で心肺機能を維持するのがおすすめです。また腓骨筋が凝り固まっている場合はマッサージで緩めます。

症状が強い場合には装具やギプスによる固定が必要な場合もあります。

また原因がはっきりしている場合は原因を取り除きます。例えば不整地でのランニング、傾斜部でのランニング、シューズの不適合(幅の狭い窮屈なシューズ)など。シューズの外側の減りが早い場合にはインソールなどで調整します。

一概には言えませんが土踏まずが内側に倒れ込むプロネーションではなく、その逆のサピネーションの人に多く発症する傾向にあるので、外側を高くしたインソールなどが作られます。
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手術

長期間の放置例や狭窄性腱鞘炎、縦断裂をきたして遷延化すると手術適応となる事が多くなります。手術では狭窄性腱鞘炎であれば下腓骨筋支帯を切開したり肥大した腱の部分を切除、縦断裂では変性した腱の部分を切除し断裂部を縫合し管状に形を整えたりします。

一般に、適切に手術療法が行われれば、術後の成績は非常に良好とされています。スポーツマンで手術的に治療した患者(49例)のうち、87%がスポーツ活動に復帰。復帰までの平均は3.49ヶ月。

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腓骨筋腱脱臼・亜脱臼の場合は新鮮例(急性)でさえ4~6週間のギプス固定での治癒率は50%で、確実なスポーツ復帰を目指す場合や陳旧例(慢性)では手術が必要になる事が多いようです。

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参考文献

杉田直樹,立花陽明,坂口勝信.足部・足関節の捻挫で生ずる腱傷害.関節外科 2014;33:38-43
窪田誠.腓骨筋腱損傷・障害の診断と治療.関節外科 2017;36:66-71
鈴木朱美,石垣大介,高木理彰.腓骨筋腱脱臼の診断と治療.関節外科 2017;36:72-81
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膝の関節炎・滑膜炎【マラソン・ランニング障害】 

走っていると膝が痛くなる。ランナーなら誰もが一度は経験する事だと思います。通常ならしばらく休めば痛みは消失しますが、数週間~数ヶ月経っても痛みが引かない場合、それは膝に慢性の関節炎・滑膜炎を発症しているかもしれません。今回はあくまでもランニング障害としての外傷性の関節炎・滑膜炎を主に扱います

※関節炎・滑膜炎を発症する疾患は関節リウマチ・偽痛風・細菌感染・変形性膝関節症など他にも鑑別するべき疾患が複数あります。


関節の構造と滑膜


膝関節は関節包(かんせつほう)と呼ばれる袋に包まれています。その関節包の内側の壁面が滑膜(かつまく)と呼ばれる組織です。関節包より内がわを関節包内、外がわを関節包外と呼び、一般的に関節炎・滑膜炎は関節包内での炎症を指します。ランナーに多い腸脛靭帯炎や鵞足炎は関節包外の障害になります。

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レントゲンでは異常なし、でも痛い

長引く膝の痛みがあってもレントゲン(X-ray)では異常なしと言われてしまう事が多々あります。特に初期の変形性膝関節症ではレントゲンでは大きな異常所見が見られません。医学的にはレントゲンでの画像所見と痛みにはそれ程強い相関関係がない事が常識となっています。

どういう事かと言うと、レントゲンではあまり変形は見られないのに痛みが強い方もいれば、レントゲンでは強い変形があるにもかかわらず全く痛みを感じない方もおられます。(MRIでは比較的画像所見と痛みに相関関係があります)

そもそも40歳以上の5人に1人が程度の差こそあれ変形性膝関節症と言われていますが、その全員に膝の痛みがあるかと言われるとそうではありません。下の画像では変形の程度はAさんの方が強いのですが、痛みはBさんの方が強かったりします。

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それよりも痛みが”ある“と”ない“滑膜の炎症の程度と強い相関関係があります。関節の軟骨には痛みを感じる神経(受容器)がないのですり減ろうが裂けようが痛みを感じません。しかし滑膜は関節内で最も血管が豊富で痛みを感じる神経が沢山分布しているために炎症を起こすと強い痛みを感じます。

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滑膜の役割

正常な膝の関節包内には関節液がわずかに1~3ccしかありません。この関節液を作り出しているのが滑膜です。滑膜は関節液を作り出すだけではなく、関節液中のいらなくなった不要なごみを回収する役割もあります。その関節液の働きは主に2つです。
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①関節液にはヒアルロン酸やたんぱく質が含まれ粘り気があります。その関節液が軟骨表面を覆い潤滑油となりスムースな関節運動を助けます。

②さらに関節の軟骨には血管がありません。栄養がなければ軟骨は壊死してしまいますが、軟骨はこの関節液から栄養を受け取っています。

滑膜炎はなぜ起こる

原因の一つとして軟骨の変性(劣化)があります。膝に繰り返し衝撃が加わるなどで小さな軟骨の破片が関節液中にぷかぷか浮遊します。その軟骨の破片は滑膜に取り込まれるのですがそれが滑膜の炎症を誘発します。滑膜炎を発症すると滑膜は通常よりも多くの関節液を作り出すようになります。これがいわゆる“膝に水が溜まる”状態です。

花粉症に例えると花粉(軟骨の破片)が鼻の粘膜(滑膜)に付着すると炎症を起こして鼻水(関節液)が止めどなく流れます。鼻を何度かんでも流れ続けますが、鼻粘膜(滑膜)の炎症が収まれば同時に鼻水(関節液)も正常な量に戻ります。

さらに炎症を起こした滑膜からは追い打ちをかけるように炎症を誘発する種々の化学物質が放出され、軟骨の変性(劣化)を進行させます。こうなってしまうとまさに悪循環です。

ランナーの場合、脚筋力の不足が原因になる事もあります。着地動作の際には膝関節には体重の数十倍もの衝撃が加わります。ただ通常は膝周囲の筋肉によってその衝撃を和らげます。しかし例えばフルマラソンの30km以降。足に力が入らない状態、疲労した状態では筋肉による衝撃吸収機能が上手く働かず関節への強い衝撃が加わり炎症を起こします。

関節炎・滑膜炎のエコー画像

下の図は正常な膝関節のエコー画像です。矢印部分が関節包(滑膜)です。
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下の図は変形性膝関節症と滑膜の肥厚です。関節包が大きく上に盛り上がっています。
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エコーではドプラー機能とよばれるものがあり、滑膜が炎症を起こしているかを確認できます。画面のの枠の中での点滅が複数みられるのは炎症を起こしているサインです。正常な関節ではわずかに正常な血管が描出される程度ですが、滑膜炎を起こした関節では滑膜に増殖した異常な血管が描出されています。
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下の動画は同一人物の健側(良い方)と患側(悪い方)のドプラー動画です。変形の程度は左右それ程違いはありませんが、炎症は痛みのある患側の膝に強く見られます。



下図はある市民ランナーの膝のエコー画像です。フルマラソンの後半に膝の内側が痛くなり我慢して完走するも激痛に。膝の内側を押すと痛みが強く、関節炎か鵞足炎か判断が難しいところですが、エコーを確認するとどちらかと言えば関節の炎症が強く確認できます。




関節炎・滑膜炎の治療


まずは炎症を抑える為に安静が必要です。ランナーであればランニングを中止します。痛みを我慢しながらの運動は症状を悪化させます。消炎鎮痛作用のある湿布を貼るのも痛みが強い時期には有効です。炎症が軽度であればそれで治癒します。サポーターなどで圧迫し膝の動きを制限してあげる事も効果的です。

中等度以上で痛みが長引く場合には場合によっては病院や整形外科等でヒアルロン酸の注射を行ないます。ヒアルロン酸には関節の動きを滑らかにすると同時に炎症を抑える効果があります。

ある程度痛みのピークを過ぎれば、膝周囲の筋肉に痛みが出ない範囲でトレーニングを行います。特に太もも前面の大腿四頭筋の強化が重要です。スクワットや大腿四頭筋セッティング(検索して下さい)が有効です。

無理に動かす事は炎症を助長する為に控えましょう。ランナーあるある、『走って治す』は筋肉や腱の痛みの場合は有効な事も多々ありますが、関節炎、滑膜炎の場合はあまり効果がありません。

※関節包内の怪我には変形性膝関節症・膝蓋大腿関節症・タナ障害・離断性骨軟骨炎・突発性骨壊死・ジョギング愛好家にみられる脛骨内側顆疲労骨折など鑑別すべき疾患が複数あるので素人判断は禁物です。痛みが長引く場合には必ず専門家に診てもらいましょう。

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膝蓋大腿関節症【マラソン・ランニング障害】 

ランニングをしていて膝のお皿の骨・膝蓋骨(しつがいこつ)の裏側や上側に違和感や痛みを感じた場合は膝蓋大腿関節症(しつがいだいたいかんせつしょう)が疑われます。

膝蓋大腿関節症の主な症状

・ランニング時、ランニング後の膝蓋骨の裏側の違和感や痛み
・階段昇降時の膝蓋骨周囲の違和感や痛み
・正座や椅子からの立ち上がり動作時の違和感や痛み
・自転車・ロードバイクでのペダリング動作での違和感や痛み
・膝蓋骨の引っ掛かり感
・膝蓋骨の外側への脱臼感や不安定感
・膝蓋骨周囲の腫れやこわばり
・膝の曲げ伸ばしで膝にゴリゴリ音がする

膝蓋大腿関節とは
膝蓋骨と大腿骨が接触している部分の関節です。膝蓋骨と大腿骨が接触している部分にはそれぞれ軟骨があり摩擦を軽減しています。膝を曲げ伸ばしなどする際には膝蓋骨は軟骨のおかげで上下や左右に滑らかに動きます。

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大腿骨には内側顆(ないそくか)と外側顆(がいそくか)と呼ばれる凸面がありその間は凹んでいます(顆間溝)。逆に膝蓋骨の関節面はV字型になっており、膝を曲げる際には膝蓋骨の凸が大腿骨の 凹にうまくはまり込む形で上下に移動します。下左図は膝を曲げた状態です。
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なぜ違和感や痛みなどの症状が出現するのか
さまざまな要因により膝の屈伸動作で膝蓋骨が大腿骨の凹部分に上手く嚙み合わず、圧迫・摩擦・衝突し炎症や軟骨の損傷を起こします。膝を曲げていくと膝蓋骨と大腿骨の接触面積は徐々に広がり、膝を90°曲げたあたりで最大となります。膝を伸ばした状態では膝蓋骨と大腿骨はほぼ接触していません。

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膝蓋骨は膝を曲げると下に移動します。逆に膝を伸ばすと上に移動します。上下におよそ5~7cm移動します。大腿骨の凹み(顆間溝)のレールの上を移動するイメージですが、時に膝蓋骨が骨の凹みのレールから外れて脱線すると症状を誘発します。医学的には膝蓋骨のマルトラッキングと呼ばれる現象です。

膝蓋骨は一般的に外側に脱臼するので膝蓋大腿関節症もやや外側に症状が発症しやすい傾向にあります。ランニングの着地の際に膝が内側に入るKnee-in Toe-outは症状を誘発するフォームになります。

女性と男性では骨格が異なり一般的にQ-angle(キューアングル)の大きい女性の方が膝が内側に入りやすく発症しやすい傾向にあります。
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膝蓋大腿関節症の画像所見

【レントゲン】
膝を曲げた状態で膝蓋大腿関節のレントゲンを撮影すると下図のように見えます。膝蓋骨は大腿骨の凹に綺麗にはまり込み間にはスペースがしっかりあります。
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膝蓋大腿関節症のある方の場合には下図のように膝蓋骨が外側に亜脱臼している場合もあります。
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上図の様になってしまう原因は様々で、X脚・内側膝蓋大腿靭帯の断裂・大腿骨の顆間溝の凹みが浅い・膝蓋腱が付着する脛骨粗面の外側偏位・膝蓋骨高位症など複雑です。

【超音波・エコー】
超音波で観察する際、膝を伸ばした状態だと膝蓋骨が邪魔で音波が伝わらないため、膝を曲げることで大腿骨側の関節面である部分の観察が可能です。全体像はエコーでは観察できません。

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正常像(長軸像)
膝蓋大腿関節症・膝蓋大腿関節障害 

膝蓋大腿関節症
膝蓋骨軟化症 

同一人物の健側と患側
anterior knee pain syndrome 

膝蓋大腿関節症
膝蓋大腿関節症20170624a 

正常像膝蓋大腿関節症



膝蓋大腿関節症20170624b 


自分でできる対処方法

まずは痛みのある動作をなるべく避ける事が必要ですが、それ以外に一般の方が簡単にできるものは2つ。

太ももの前面にある大腿四頭筋の筋力トレーニングストレッチです。これで全てが解決するわけではありませんが、まずは3か月やってみる事です。それで痛みが取れなければ他の方法を考えます。

膝蓋骨は大腿四頭筋(内側広筋・外側広筋・中間広筋・大腿直筋)の力を伝える為の種子骨ですが、この筋肉が硬いと膝を曲げた際に膝蓋骨が押し付けられ大腿骨との接触圧が上昇します。

また大腿四頭筋のうち、内側広筋は膝蓋骨が外側へ移動するのを防ぐ働きがあります。

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パテラセッティング(筋力トレーニング)
膝の下にバスタオルなどを挟みます。そしてそのバスタオルを膝裏で押しつぶす様に太ももの前に力を入れます。足首を甲側に曲げると力が入りやすくなります。重要なのは太もも前面の内側にある内側広筋を意識して行う事です。何も考えずに行うのと特定の筋肉を意識して行うのではトレーニング効果が異なります。※パテラ(patella)=膝蓋骨

押し付けた状態を5秒~10秒継続して力を緩めるを20回(目安)

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大腿四頭筋の硬さのチェックとストレッチ
チェックする反対側の膝を90°に曲げる。チェックする側の膝を体の真下よりやや後方に着く。上体を垂直に保ったままで、手を使ってかかとをお尻に近づけてみてください。簡単にかかとがお尻につかなければ太ももの前の筋肉が硬い証拠です。しっかりとストレッチしましょう。下の図がそのままストレッチにもなります。


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自分の場合、全くストレス無くかかとがお尻につきます。

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ふくらはぎの肉離れ(超音波エコー画像)・マラソン・ランニング障害2/2 

ふくらはぎの肉離れは超音波エコーで検査するとどのように見えるのでしょうか。外からはわからないふくらはぎの内側を覗いてみましょう。

ふくらはぎの肉離れ(説明)・マラソン・ランニング障害1/2

ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)の解剖学

ふくらはぎの筋肉は皮膚のすぐ下に腓腹筋(ひふくきん)があり、その更に下にヒラメ筋があります。腓腹筋は内側頭と外側頭(ないそくとう・がいそくとう)の2つに分かれていて、一般的に肉離れは腓腹筋の内側頭に好発します。
201605calfstrain001.jpg 

腓腹筋やヒラメ筋はそれぞれが筋膜(きんまく)と呼ばれる膜に包まれていて隔てられています。
201605calfstrain002.jpg 

エコー検査の手順

エコーのプローブと呼ばれるものを下図のように当てます。
201605calfstrainprobe.jpg  

すると下図のようなエコー画像がみられます。腓腹筋が上にあり、その下にヒラメ筋があります。2つの筋肉はそれぞれの筋膜で隔てられています。画面の左側は膝側で画面の右側が足先側です。画面の上が皮膚表面になります。
西院かんな整骨院・肉離れ・治療  

正常な腓腹筋では綺麗なスジ(医学的にはフィブリラーパターンと呼ばれます)が規則正しく筋膜に向かって走行しているのが確認できます。

肉離れのエコー画像

肉離れではフィブリラーパターン(スジ)が消失し、筋肉(筋周膜)が筋膜から剥離(はくり)してそこに血腫(けっしゅ)が溜まります。また全体的に筋肉が腫れて、高エコー像(画面全体が白っぽくなる)に描出されます。

多くの肉離れは筋肉の線維が途中で断裂するのではなく、筋肉が筋膜に付着する部分で剥がれるような形で損傷します。

例えば頭の髪の毛が筋線維で頭皮が筋膜とすると髪の毛を引っ張ると毛の途中でちぎれるのではなく頭皮から毛が剥がれますよね。エコー画像では腓腹筋の筋膜付着部や腓腹筋がアキレス腱に移行する筋腱移行部に異常像が見られる事がほとんどです。

①正常な腓腹筋
腓腹筋肉離れ・京都市病院整形外科  

②肉離れを起こした腓腹筋
ふくらはぎ肉離れ・京都市病院整形外科   

正常な腓腹筋
ふくらはぎ肉離れ・中京区右京区上京区下京区整骨院接骨院  

④肉離れを起こした腓腹筋
ふくらはぎ肉離れ・西院大宮西京極・整骨院接骨院    

⑤肉離れを起こした腓腹筋
ふくらはぎ痛・京都・マラソン・ランニング 

⑥肉離れを起こした腓腹筋
ふくらはぎ、肉離れ、京都市、エコー検査 

⑦3名の痛みのある方(患側)と痛みのない方(健側)
ふくらはぎの肉離れ・中京区・右京区・上京区・下京区・南区・伏見区 
ふくらはぎ・にくばなれ・西院・大宮・西京極 
腓腹筋・ヒラメ筋・痛み・病院・整形外科・治療院 

⑧腓腹筋とヒラメ筋の筋膜間に広がった血腫
にくばなれ、腓腹筋、ヒラメ筋、画像、検査、治療 
血腫の量が多い原因としては、痛みを我慢して無理に荷重をかけたり歩いたりする事があげられます。腓腹筋とヒラメ筋を隔てる筋膜は下の方はきつく、上の方はゆるく結合しているため、血腫は重力に逆らって上側(膝側)に押し流されていきます。

MRI画像で腓腹筋の肉離れを撮影しても筋膜の部分に高輝度変化が確認できます。下図の場合も腓腹筋とヒラメ筋を隔てる筋膜部分での損傷です。
20160519calfstrain005.jpg 
 

エコー検査で血腫が確認できても、それが皮膚の表面に出現するまでには3~5日程度かかります。初期の圧迫と免荷(体重をかけないようにする)が不十分な場合には腓腹筋・ヒラメ筋筋膜間に血腫がどんどん広がり、吸収・消失するまでに3~4ヵ月を要してしまいます。

またふくらはぎの肉離れのエコー検査では受傷当日や翌日ではいまいちはっきりと描出されない事が多々あります。3~5日経過するとより鮮明に描出される事もあるので、初診時に異状なしと言われても痛みが続く場合は再診しましょう。個人的にも初回よりも2回目の検査の方がよりはっきりとわかります。

肉離れの動画(炎症反応)

下図は正常な腓腹筋と肉離れを起こした腓腹筋の動画です。肉離れを起こした腓腹筋では断裂部に一致して炎症反応(赤い点)が確認できます。ヒラメ筋の繊維も少し不整に描出されています。




ほとんどの腓腹筋の肉離れは急激なダッシュ動作やスピード練習で発症します。力強いキック動作では主に腓腹筋の内側頭が使われるのが原因だと言われています。
201605calfstrain008.jpg 
前を走るアルマズ・アヤナ(Almaz Ayana)と追うゲンゼベ・ディババ(Genzebe Dibaba)。

ふくらはぎの肉離れ(説明)・マラソン・ランニング障害1/2

自身のふくらはぎ痛の経験

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ジョガーズフット・足の親趾のしびれ【マラソン・ランニング障害】 

足の趾のしびれの原因は沢山ありますが、長距離ランナーで足の第1趾、時に第2趾に痺れがあればそれはジョガーズフット(jogger's foot)かもしれません。

ジョガーズフットを短くまとめると、脛骨神経が足の内くるぶし近くで内側足底神経・外側足底神経・踵骨枝の3つに分岐しますが、その内の内側足底神経が母趾外転筋の下を通過する際に圧迫される事により発症する絞扼性神経障害です。少し難しいでしょうか?

症状(しびれ・うずき・灼熱感etc.)は下図の部分に現れます。
joggersfoot.jpg 

内側足底神経とは

腰から降りてきた坐骨神経は膝の近くで脛骨神経と腓骨神経に枝分かれします。脛骨神経はそのまま足の内くるぶしまで降りてきます。内くるぶしの下を通る前にまず踵骨枝が分岐します。その次に内くるぶしの後ろで内側足底神経と外側足底神経に分岐します。内側と外側の足底神経はそのまま足の裏へ走行します。
joggersfoot1.jpg 

母趾外転筋とは

足底部の図です。下左図が母趾外転筋(ぼしがいてんきん)です。下右図が母趾外転筋の下を通過する内側足底神経(ないそくそくていしんけい)です。脛骨神経が母趾外転筋を通過する直前に内側と外側の足底神経に分岐しています。
joggersfoot3.jpg  joggersfoot4.jpg 

症状

主な症状は足の内側縦アーチと第1足趾・第2足趾に現れます。

●しびれ(numbness)
●うずき(tingling)
●灼熱感(burning)
●足の内側縦アーチの痛みと圧痛
●走行時・走行後の症状の増悪
●足首の関節が外れるような感覚(giving way)

リスク要因

●偏平足
●長距離ランナー
●バレーダンサー
●繰り返す足首の捻挫
●オーバープロネーション
●サイズの小さなシューズの着用
●新しいアーチサポートの強いインソールの使用
●糖尿病・甲状腺疾患
joggersfoot5.jpg

例えばウルトラランナーであればスタート時にはぴったりのシューズでも何度も着地を繰り返すことで炎症を起こし、それにより腫脹と圧迫が出現したりもします。

チネルサイン

チネルサイン(tinel sign)とは神経が圧迫されている部分を指で上から叩くと、そこから先に放散痛やしびれが広がる現象です。ジョガーズフットの場合は部分、足根管症候群の場合は部分にチネルサインが見られます。

joggersfoot6.jpg 

予防

●しっかりとフィッティングされたシューズを履く
●ウォーミングアップをしっかりと行う

鑑別疾患

腰部脊柱管狭窄や椎間板ヘルニアでも足底・足趾の痺れは出現します。また内くるぶしの後ろにある足根管を通過する際に神経が圧迫されている場合は足根管症候群です。第3・4足趾に痺れが見られれば、モートン神経腫が疑われます。

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ハムストリングス肉離れ【マラソン・ランニング障害】 

統計的には短距離ランナーでは太もも裏側のハムストリングス、長距離ランナーではふくらはぎ(下腿三頭筋)の肉離れが多いです。しかし市民ランナーでもスピード練習などをすればハムストリングスの肉離れを発症します。

関東労災病院スポーツ整形外科受診の肉離れ患者1,239例を対象にした調査。
種目ハムストリングス下腿三頭筋
短距離65.1%3.2%
ジョギング32.1%46.4%
マラソン25.0%41.7%


ハムストリングスとは太ももの後ろ側にある3つの筋肉の総称で内側の半膜様筋(はんまくようきん)半腱様筋(はんけんようきん)と外側の大腿二頭筋(だいたいにとうきん)に分かれます。主な役割は股関節を後ろに伸ばしたり、膝関節を曲げたりする事です。
2016hamstrain001.jpg 


肉離れを起こすきっかけ

普段のジョグで発症する事は稀ですが、普段のジョグでハムストリングスへの疲労蓄積により筋緊張が高まり、スピードを上げた瞬間に太ももの裏側に”ズキッ“とした痛みを感じます。インターバル走や流しなどの速い動きで損傷します。
Hamstrings20180401.jpg 

症状と分類

よく肉離れを1型・2型・3型に分類したりしますがMRIを撮影しないかぎり正確には分類できません。なので下記の症状にどれだけ当てはまるかが重症度の簡単な目安になると思います。

○歩行時痛がある
○走行時痛がある
○局所の圧痛がある
○ストレッチ痛がある
○筋痙攣がある(突っ張り感)
○SLRで健患差がある
○筋力低下がある(膝を曲げる力)
○皮下出血がある(受傷から2~3日後)

※SLR(straight leg raising)とは膝を伸ばした状態で足を検者が上げていきます。どの角度で痛みが出るかを健側と患側で比較します。代償動作に注意します。
2016hamslr.png 

特徴(医療従事者向け)

○ハムストリングスの肉離れのほとんどが大腿二頭筋(長頭)に発症する。
○パワーに関与する羽状筋(大腿二頭筋・半膜様筋)で肉離れの9割を占める。
○スピードに関与する紡錘状筋(半腱様筋)は肉離れの1割程度。
○部位としては筋肉と腱の境界部である筋腱移行部に好発する。
○ハムストリングスの肉離れは再発が多いので復帰には注意を要す。
○筋疲労が蓄積した状態でのランニングは重要な危険因子である。
○肉離れに合併して支配神経も損傷される。(神経伝道速度の低下)
○坐骨結節付着部の肉離れは難治性で手術を要する事がある。(上図の腱付着部)

治癒・復帰までの期間


軽症で1~2週間 中等症で4~6週間 重症で3~6ヶ月。あくまでも目安です。

肉離れの皮下出血

中等症や重症の肉離れの場合、筋肉内(筋膜内)で出血を起こします。しかし受傷直後は出血斑は肉眼では確認できません。受傷後2~3日後に徐々に皮下出血斑が出現します。しかし一般的に皮下出血は重力に従って損傷部よりも下に出現します。つまり皮下出血が見られる場所がそのまま損傷した部位ではありません。

下写真はハムストリングスの肉離れの受傷当日の写真です。

どこが異常かわかりますか?痛みは左膝の裏側外側にあります。うっすらと赤くなっているのが確認できると思います。数日後に現れる皮下出血を予測できます。
hamstrain1day.jpg  

受傷3日目の写真です。
うっすらと皮下出血が現れました。
hamstrain3days.jpg  

受傷9日目の写真です。
ふくらはぎにみられる皮下出血は損傷部の出血が下に降りてきたものです。外側だけでなく、内側の方にも損傷がありました。
hamstrain9days.jpg 

受傷17日目の写真です。
皮下出血は吸収され消失しました。痛みなどの症状は残存しています。
hamstrain17days.jpg  




肉離れのエコー画像

軽度の肉離れはなかなかエコーでの確認は難しいのですが、血腫の見られる中等度や重度の肉離れはエコーで確認が可能です。
bicepsfemorismusclestrain20180205.jpg 


症例1
男子高校生・短距離選手のお尻の少し下のハムストリングスの肉離れ像です。この方は受傷後3~4ヶ月経過していましたが、中々痛みが取れず、スピードを出して走れないという事でした。筋膜に付着する部分で線維が途絶して黒い低エコー像が確認できます。恐らく受傷直後であればもっと真っ黒に描出されていたに違いありません。

ハムストリング肉離れ・ふとももにくばなれ・京都市 

同じ方の健側(痛みの無い方)と患側(痛みの有る方)を並べてみるとよくわかります。

ハムストリング肉離れ・ふとももにくばなれ・整骨院・接骨院・病院・整形外科  

このように重症例では3ヶ月時点ではまだまだ筋肉の修復は中途半端で、この時期に再度スピードを出そうものなら再受傷します。完全に修復されるまでには6ヶ月以上は必要ではないでしょうか。

症例2

女子高校生・短距離選手のハムストリングスの肉離れ像です。お尻のすぐ下(近位部)。
runbicepsfemoris20170624b.jpg 

上の肉離れ像を短軸(輪切り)にしたのが下のエコー画像です。
runbicepsfemoris20170624.jpg 
健側と患側を並べてみると筋肉内に黒い血腫が確認できます。

症例3
50代男性のハムストリングス(大腿二頭筋)の肉離れ像です。急な方向転換をしながらダッシュした際に負傷。脚を引きずりながら来院。大腿部は健側に比べ患側は周径が1.2倍くらいに腫れていた。SLRは50°あたりで痛みあり。

長軸像では筋線維の連続性がなくなり黒い出血が確認できます。
大腿二頭筋肉離れ20180206 

短軸像では筋肉内の黒い血腫とその大きさが確認できます。
大腿二頭筋肉離れ20180210 

下図はエコー動画です。筋繊維(筋周膜)の不整と筋肉内の血腫(黒い部分)が確認できます。


上記の方は受傷翌日に受診した際には皮下出血斑は確認できませんでした。しかし受傷3日後より徐々に皮下出血斑が出現。2週間後には皮下の出血斑はほぼ消失もエコーでは筋肉内にまだかなり血腫が確認できました。
大腿二頭筋皮下出血斑経過20180204 

自身のハムストリングス肉離れ(軽症)の症例

2015年7月と8月は走り込み月間としてほぼ休みなく走っていた8月12日(水)。12kmのペース走を3'54"/kmのペースで走るも、最後の1km手前で右太もも裏が攣るような感じがありました。それでも無事に完走。特に気にもしていませんでした。

その後13日(10km)・14日(10km)・15日(14km)・16日(34km)・17日(12km)・18日(10km)とジョグを続ける。その間違和感・痛みは全くなし。

そして19日(水)は1週間ぶりのペース走。最初の3kmを11分37秒(3'52"/km)で通過した際、突然右太もも裏が痙攣しストップ。走れないと判断し中断。ジョグで帰宅しようとするも着地の際に痛みがあり、歩いて3kmを帰宅。

2日ほど完全休養以降は全く痛みはでていません。軽症例では3~5日で復帰できます。

このようにハムストリングスはスピード練習で発症します。またレースではハイペースとなるために発症のリスクが高まります。しかし13日~18日は普通にジョグできていたのでゆっくりしたペースではそれ程ストレスがかかっていなかったのかなと思います。

自分でできるハムストリングスの損傷や肉離れの検査

Taking off the shoe テスト

このテストはgrade1・2の大腿二頭筋の肉離れを負ったプロのサッカー選手140名(17歳~33歳)に実施させたところほぼ100%ハムストリングスの損傷・肉離れを判断できたテストです。

Taking off the shoeとは日本語に直すと靴を脱ぐ。。。そのままです。

手順は痛みのある方の靴を手を使わずに脱ごうとした時に太ももの裏側に痛みを感じれば陽性です。痛みの有る方のつま先を少し外側に向けて靴の踵を反対の靴の側面に当てて脱ぎます。
takingofftheshoetest.jpg

自分もポイント練習などスピード練習後に帰宅して玄関で横着して手を使わずに靴を脱ごうとするとたまに太ももの裏側が攣りそうになります。つまり練習でハムストリングスに疲労が溜まっているサインなんですね。一般的に筋痙攣は疲労が溜まって微妙に収縮状態にある筋肉にさらに強い収縮が加わった時に起こります。

ふくらはぎで説明すると疲労の溜まった状態で足首を下に下げる(ふくらはぎの筋肉を収縮)とこむら返りを起こします。

ハムストリングスの肉離れのリハビリテーション&治療

ハムストリングスの肉離れに対する有効性が実証されている現在最も推奨されているリハビリテーションにThe Askling L-protocolがあります。以後L-protocol。

このエクササイズを行うことで早期に筋力の回復が得られ、より短期間での競技復帰が可能です。

このリハビリテーションは以下の3つのエクササイズから構成されています。
Extender(エクステンダー) ②Diver(ダイバー) ③Glider(グライダー)でそれぞれ実施頻度と回数が異なります。

それぞれの動画は下の動画の文字をクリックしてYoutubeで確認できます。リンク切れのチェックは行っていないのでリンク切れの場合は『Askling exercises』や『Askling protocol』で検索して下さい。

それぞれの説明と注意を簡単に下に書いておきます。

Extender 毎日2回 12回 x 3セット 動画
仰向けに寝て両手で痛みのある脚の大腿を持ち上げ股関節を90°に屈曲させる。そのままゆっくりと痛みを感じる手前まで膝を伸ばして元に戻すを繰り返す。

Diver 2日に1回 6回 x 3セット 動画
痛みのある脚の膝を少し曲げた状態で立ち、両手は前に、痛みのない脚は後ろへ上げる。慣れるまでは壁に片方の手をついて支える。

Glider 3日に1回 4回 x 3セット 動画
すべての体重を痛みのある脚の踵(かかと)にのせて膝を少し曲げる。痛みがない脚をゆっくりと後ろへ滑らせる。(タオルなどを使う)痛みが出ないように最初は狭い範囲で行い徐々に範囲を広げ、スピードを上げる。安全のために壁に片方もしくは両方の手をついて支える。

3つをまとめた動画

※すべての動きは痛みのない範囲でおこないます。

実施例1日目2日目3日目4日目5日目6日目7日目
①Extender
②Diver×××
③Glider××××

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リスフラン靭帯損傷・足の甲の痛み【マラソン・ランニング障害】 

マラソンやトレイルランニングでつま先立ちのような状態から体重を乗せた後に頑固な足の甲の痛みが続く場合、リスフラン靭帯損傷の疑いがあります。下記の図のような状態で負傷しますが、はっきりとした受傷機転がない場合もあります。

2016LFlig.jpg  

痛みの出る場所はの部分です。

2016lisfranc002.jpg 

リスフラン関節とは?


リスフラン関節とは第1~5中足骨と内側・中間・外側の3つの楔状骨(けつじょうこつ)と立方骨からなる関節です。関節と言ってもほとんど動きはありませんが、足の横アーチを保持するのに重要な関節です。

2016lisfranc000.jpg  

2016lisfranc004.jpg 


リスフラン靭帯とは?


足の甲には沢山の靭帯があり骨と骨を繋ぎとめています。その中で第2中足骨と内側楔状骨の間にある靭帯をリスフラン靭帯と呼びます。

2016lisfranc005.jpg 2016lisfranc006.jpg 


症状・身体所見

●ランニングのキック動作や着地動作での痛み
●階段の下りでの痛み
●つま先立ちができない
●足の甲のリスフラン靭帯部の圧痛
●足の甲・足背部の腫れ
●受傷直後は歩行時痛が強く踵歩行になる

2016lisfranc007.jpg
 


検査


荷重した状態でレントゲン検査を行なうとリスフラン靭帯が損傷している場合、内側楔状骨と第2中足骨が離れます。また重症例では中足骨が背側(上)へ亜脱臼します。

2016lisfranc008.jpg 

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上記の亜脱臼はエコー検査でも下図の様に確認できます。

2016lisfranc010.jpg 

2016lisfranc011.jpg 


受傷度分類

StageⅠ : 離開なし
StageⅡ : 2mm以上の離開
StageⅢ : 離開と内側縦アーチの低下

一般的にStageⅡ以上では手術を選択する事が多いです。

2016lisfranc012.jpg 

治療

治療では軽症例では手術をしない保存療法が選択されます。

保存療法では離れてしまった第1・2中足骨を寄せた状態にしてギプスで固定する事で靭帯の修復を促進します。1ヵ月は免荷(体重をかけない)します。ギプスを外した後は足底版を装着しリハビリを行い約2~3ヵ月が競技復帰の目安です。軽症例ではテーピングで代償できる場合もあります。

リスフラン靭帯損傷は軽い捻挫や腱鞘炎などと勘違いして放置されてしまう事がよくあります。難治性なので6ヵ月たっても痛みが残存してしまう場合もあります。少しでもおかしいと感じれば一度医療機関を受診しましょう。

鑑別疾患

中足骨疲労骨折・舟状骨疲労骨折・長母趾伸筋腱腱鞘炎・前脛骨筋腱鞘炎・足背皮神経損傷etc.

蛇足

リスフラン(Lisfranc)とは人名です。ナポレオンの軍医でした。戦争の時にリスフラン関節部で足の切断術を多くしたために名前が残っています。

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月間走行距離の推移とトレーニングエラー 

1月の月間走行距離は533kmで2ヵ月連続での500km越え。距離はしっかり踏めているけれど走力が向上しているかは微妙。2月も15日までに250km走ってそこから練習量を落としてテーパリングします。

京都マラソンは4'00"/kmでペース走予定。その2週間後に篠山マラソンです。

こういう時こそ故障に注意しなくてはいけませんね。転倒した、段差を踏み外し足首を捻ったなど、明らかな原因がある怪我とは別にマラソン練習で故障する場合に多いのがトレーニングエラーです。

トレーニングは頻度・強度・時間などを適切に管理しなくてはいけません。そのどれかが不適切だと歯車が狂い故障します。例えば、頻度が少なすぎるor多すぎる、強度が強すぎる、時間が長すぎる。

初心者ランナーが故障する場合に多いのはやはりマラソンを走るための体がまだ出来上がっていないのに身の丈を超えた練習をしてしまう事によります。上級者ランナーでは絶好調でガンガン走っている時にある日突然故障します。

自分も一度トレーニングエラー(明らかに走り過ぎ)により腸脛靭帯炎を発症しました。

マラソン練習の場合、1回良い練習ができたから速く走れるようになるわけではなく、そこそこの練習を何度も何度も繰り返すことで徐々に積み上げていく、1回、1回はただのですが、それを3ヵ月、6ヵ月続けていくことで徐々にとして繋がります。

そう考えると、7年かけてやっと月間500km走れる丈夫な体になってきた感じです。

走り始めてこれまでの月間走行距離の推移をまとめてみました。それぞれの月間走行距離に到達するまでどれくらいの年月を要したのかをみてみます。

走り始めたのは2008年の8月です。練習日誌をつけ始めたのは10月からです。

月間走行距離到達までに要した年月前の段階から要した年月
200km9ヶ月9ヶ月
250km1年1ヵ月4ヵ月
300km1年2ヵ月1ヵ月
350km1年11ヵ月9ヶ月
400km3年11ヵ月2年
450km4年8ヵ月9ヶ月
500km7年4ヵ月2年8ヵ月

こうしてみてみると、月間走行距離350km→400kmに2年、450km→500kmに2年8ヵ月を要しています。つまり急に500km走れるようになったわけではなく、徐々に積み上げてきた感じです。逆に初の月間走行距離300kmは1年2ヵ月と比較的早い段階で達成していますが、2回目の300km越えはそれから9ヶ月後なので無理はしていません。

マラソン練習に近道はなく、ただひたすらコツコツ積み上げていく、これに尽きます。


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