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痛風性関節炎・足の親指や甲の激痛【マラソン・ランニング障害】 

男性市民ランナーで急に足の親指や甲に強い痛みと腫れが出現した場合、それはもしかしたら痛風発作かもしれません。最初の発作は足の親指のつけ根に起こることが最多で、くるぶし、かかと、アキレス腱、足の甲を含めると9割以上が足に起こります。普段から走っている市民ランナーではスポーツ障害と誤認してしまうかもしれません。


 
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痛風とは

体の中では代謝の過程で尿酸が作られ、それらは腎臓から尿として、腸管から便として排泄されます。この作られる量と排泄される量のバランスが崩れ、血液中の尿酸が増加すると溶けきれなくなった尿酸が関節で結晶化します。この結晶がなにかのきっかけで剥がれ落ちると白血球が異物として認識して攻撃をしかけ炎症が起こり激しい痛みに襲われます。

典型的な痛風発作では痛みが激しく歩行困難になることもあります。一般的には10日前後で軽快しますが、放置すると数ヶ月に1回や数年に1回、痛風発作を繰り返します。

血清尿酸値の正常上限は7.0mg/dlで、これを超えると高尿酸血症と診断されます。

原因

ほとんどが体質(遺伝的要因)だと言われています。なので自分は普段から食生活に気をつけて、適度にランニングをしていると自負していても健康診断で高尿酸血症と診断されるかもしれません。

大規模な調査では30歳~40歳代男性の約3割が高尿酸血症だという事です。思っている以上に多いですよね。尿酸産生量は20~40歳頃に増加し、その後減少するため60歳を過ぎると高尿酸血症の頻度が減少することが報告されています。

患者の約98%が男性ですが、女性はもともと血中の尿酸濃度が男性に比べて低いため痛風にはなりにくく、さらに女性ホルモンのエストロゲンには尿酸の排泄を促進する働きがあるためです。

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※男性のみの数値ですが、全体で見ても25%以上です。ただし血清尿酸値が7.5mg/dlの方と9.5mg/dlの方では痛風発作のリスクが全然違います。

ランニングと痛風

痛風は季節的には7月の暑い時期に患者が増えます。暑さで汗をかき体内の水分が少なくなるものの、汗からは尿酸はほとんど排泄されず血中の尿酸濃度が高まるためだと考えられています。ランナーの場合、暑い時期にランニングをすると平気で1.5~2Lくらいの発汗があります。

高尿酸血症の場合、1日に2L以上の水分摂取を指導されますが、市民ランナーの場合はそれ以上の水分摂取が必要になるかと思います。

高尿酸血症の方の場合、短い時間に筋肉を激しく使い、瞬発力を要求される運動をすると尿酸値は上昇します。(ウェイトトレーニングなど)しかしランニング・ジョギングなどの有酸素運動では尿酸値は上がりません。

400mx10本等のレペティションはやや前者に当たるとは思いますが大丈夫なんでしょうか?わかりません。


血清尿酸値と薬

痛風発作を起こしている最中は炎症反応の影響で腎臓からの尿酸排泄が亢進しており、血清尿酸値を測定すると半数ほどの方で正常値以下を示すことがあるそうです。その場合は発作が治まってから再度血液検査をする必要があります。

高尿酸血症でも尿酸値が8.0mg/dl未満で過去に発作の経験がなければ薬は必要ありません。8.0~8.9mg/dlであれば総合的に判断して薬を処方される場合もあります。尿酸値が9.0mg/dl以上になってしまうと痛風発作や合併症を起こす危険性が極めて高いのでほとんどの場合、薬物療法を始めることになります。


エコー画像検査

エコーでは患部の炎症の程度と関節に蓄積した尿酸塩結晶の有無を確認できます。

Double contour サイン
エコーでは骨は白い線として描出されます。そして関節面の骨の表面には軟骨があります。軟骨はエコーでは黒い像として描出されます。その軟骨の表面に尿酸塩結晶が蓄積すると二重の輪郭が描出され、これをDouble contour sing(ダブルカントアーサイン)と呼びます。contour=輪郭。ちなみに患側と比較しようと健側を調べても同じように二重の輪郭が確認できることがあるので、高尿酸血症の方では症状が全くないあらゆる関節に日常的に尿酸塩結晶は蓄積しており、いつ発作を起こしてもおかしくない状態なのでしょう。

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痛風・痛風性関節炎・double contour sign 

ちなみに薬物療法で血清尿酸値を6.0mg/dl以下で良好にコントロールしても関節内の尿酸塩結晶が消失するには2年ほどかかると言われています。その間は痛風発作のリスクがあるため要注意です。


痛風性関節炎のエコー動画
赤い点滅が炎症を表しています。男性Aは母趾のMTP関節に、男性Bは足の甲に。2人とも血清尿酸値は9.0mg/dl以上です。男性Bは2年前からスポーツ中に足の甲の痛みを自覚していましたが、自身が痛風だと知ったのは痛風発作を起こす3ヶ月前にたまたま受診した健康診断でした。




なぜ足に好発するの?

痛風発作が足の親指に好発することをご存知の方も多いでしょうが、なぜ足に好発するのでしょうか?

熱いコーヒーと冷たいコーヒーに砂糖を入れると冷たいコーヒーの方が砂糖が溶けきらないのは想像できます。それと同じように尿酸も冷たいところでは溶けずに結晶化してしまいます。

一般的に脇の下で体温を測ると36.5℃くらいですが、足先では10℃以上も低かったりするのです。その場合は26.5℃ですが、冷え性の方では10℃台にまで低下することも。そうなると尿酸値が高い方は徐々に関節の軟骨表面に結晶が蓄積されていきます。


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マラソン・ランニング・ジョギング障害!

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亜鉛欠乏性貧血【マラソン・ランニング障害】 

マラソンの練習をしていて最近どうも調子が上がらない、以前は楽に走れていたペースが少しきつい、そんな謎のパフォーマンスの低下を感じた時、まず疑うのが貧血だと思います。

2020年の1~2月に自身が亜鉛欠乏性貧血と思しき症状を発症したのでそれを踏まえてまとめています。鉄欠乏に関する記事は沢山ありますが、亜鉛欠乏に関する記事はほとんどありません。かなり長文ですが検索で辿り着いた方の参考になれば幸いです。

貧血と言えば鉄欠乏性貧血が有名ですが、実はそれと同じくらい重要な貧血があるのをご存知でしょうか?そう、亜鉛欠乏性貧血(あえんけつぼうせいひんけつ)です。確かに鉄欠乏性貧血に比べるとやや頻度は落ちますが、血清学的に亜鉛の過不足の調査が行われた際には亜鉛欠乏と推定される人が約20%、潜在的欠乏と推察される人が約10%、トータルで約30%もいることがわかりました。

また『陸上の実業団の男子選手の約15%、女子選手の約30%に亜鉛不足による貧血がみとめられるとの報告もあります。


亜鉛とは
必須微量元素(ミネラル)には鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン、コバルトの9種類があり、亜鉛は鉄に次いで人体に多く含まれる必須微量元素(ミネラル)であり、不足に関して注意を払う必要のある栄養素です。

亜鉛は鉄と違って貯蔵システムをもたないので(鉄はフェリチンとして貯蔵できる)、トレーニング等によって失われた分は食事によって日々補充し続けなければ定常状態を維持できません。


亜鉛の欠乏による症状
貧血、鉄、亜鉛、マラソン、ランニング 

この中で市民ランナーが気を付けなければいけない症状が貧血です。亜鉛不足によって赤血球の細胞膜が軟弱になり、溶血しやすくなる事が一つの原因です。ただでさえランニングでは着地衝撃により足底で溶血が起こるため、赤血球が壊れ易いのはかなり問題です。

亜鉛欠乏性貧血、陸上、長距離 


亜鉛欠乏の原因
亜鉛はバランスの良い食事を摂っていれば大きな不足の心配はありませんが、現在の日本人は一日の摂取推奨量(男性10mg、女性8mg)に対し、男女ともに1mg程不足しているようです。また市民ランナーの場合、体重を気にするあまり過度な食事制限をすることも亜鉛欠乏を招きます。

また激しい長時間のマラソントレーニングによって、亜鉛の吸収が低下するだけではなく、尿中亜鉛が増加し、夏場などでは多量の発汗によりさらに多くの亜鉛を失います。

そしてもう一つ大きな落とし穴が鉄と亜鉛の吸収経路は共通であるため鉄剤の長期服用が亜鉛の吸収を妨げてしまうのです。鉄と亜鉛は吸収の段階で拮抗しあうため、サプリメントなどで鉄を含んだものを過剰に摂取すると亜鉛の吸収が抑制され、結果として亜鉛欠乏を招きます。

つまり鉄と亜鉛はシーソーのような関係で、一方を過剰に摂取するともう一方の吸収が阻害されます。ですから『あれっ、最近調子が上がらないし、もしかしたら貧血かな?』と感じたとしても安易に鉄剤(サプリメント)を服用すると原因が亜鉛欠乏の場合、さらに症状を悪化させてしまうのです。鉄剤(サプリメント)を服用しても貧血が十分に改善されない場合には亜鉛欠乏性貧血を疑う必要があります。


自身が亜鉛欠乏性貧血を発症した経験談

最初に体の異常を感じたのは2020年1月19日でした。その日は高槻ハーフマラソンに参加予定で、当日朝にその日の調子を確認するため、久しぶりに早朝起床時心拍数を計測しました。すると50bpmと高い数値が表示されました。自身の起床時心拍数の目安は、調子が良い:42bpm、普通:45bpm、調子が悪い:48bpmなのでこの日の50bpmはかなり高い数値です。ちなみにその一つ前は2019年12月31日の45bpmでした。

早朝起床時心拍数が高い場合①貧血②疲労③風邪などを疑いますが、この時はまだ②疲労だろうと考えていました。

なぜなら直前1週間でポイント練習を詰めて3回行ったのと、睡眠時間が短かったのもあったからです。少し調子が悪いだけだろうと挑んだハーフは目標が余裕をもって1時間20分台(3'50/km)だったにも関わらず実際は1時間24分(4'00/km)もかかりました。

ところがその1週間後の30kmの大会では1時間57分(3'55/km)で走れたりもしたのです。ただこの時も本来は余力をもって走る予定でしたが、実際は全く余裕がありませんでした。そしてこの日の早朝起床時心拍数も50bpmを超えていました。

しかしこの時点でもまだ自身が貧血を発症しているとは全く自覚していません。鉄分の摂取にはかなり気を付けていましたし、その後もポイント練習はぼちぼちこなせていました、自覚症状的にも調子はまずまずでした。

決定打は2020年2月23日の姫路城マラソンに向け、10日前からテーパリングの為に早朝起床時心拍数を再度計測し始めた時です。2月14日に計測するとまだ51bpmでした。それでも練習を積んできてまだ疲労が抜け切れていないだけだと疑わず、あと1週間、練習量を落としていけば本番までに心拍数も下がるだろう考えていました。

しかし3日前になってもまだ50bpmだったので『これは絶対に何かおかしい!かれこれ1ヶ月以上早朝起床時心拍数が50bpmを超えている』『えっ?もしかして疲労ではなく貧血ではないのか?』とレースの3日前に気が付く痛恨のミス。(笑)良いのか悪いのかレースは中止になりました。

ここで皆さんが疑問に思うのが『なぜ貧血だと認識して鉄欠乏性貧血ではなく亜鉛欠乏性貧血の方を疑ったのか?』です。

亜鉛欠乏による症状で有名なものに『味覚障害』(味が感じられない・口の中で苦みや渋みを感じる)があります。舌には味蕾(みらい)と呼ばれる細胞があり、短命のいわば使い捨ての細胞で、新陳代謝が盛んです。その味蕾の新陳代謝に不可欠なのが亜鉛で、欠乏すると細胞分裂ができなくなり機能が低下して味覚障害を発症します。

そして実は1月中旬からはっきりとした舌の症状があったのです。その症状とは『ここ最近、随分と口の中や舌が乾燥するなぁ』といったものでした。それは1日中感じるはっきりとした症状です。しかし亜鉛欠乏による症状とは自覚しておらず『鼻が詰まって寝ているときに口呼吸をしているから乾燥しているのだろう』『冬場はあまり水を飲まないから脱水気味で乾燥しているのだろう』とずっと解釈していました。

また亜鉛欠乏の症状に『舌痛症』『口内炎』がありますが、自身の舌先にも食べ物や歯が当たると時々ピリピリ痛みを感じていました。しかしそこまで強い痛みではなかったのでこれも『熱い食べ物を食べた際に軽く火傷したのだろう』『歯ブラシで舌を磨いた時に少し傷つけたかな』と解釈していました。

そういった経過があったので貧血を認識した際に『はっ!もしかしてこの1ヶ月続いている舌の違和感は亜鉛欠乏による症状だったのでは!』と思い至ったわけです。そして後々考えてみるとずっと不快だった舌の乾きは認識のしかたによっては舌の苦みと言えなくもない症状でした。また舌先をよく鏡で見てみると小さな赤い点々ができています。

食べ物の味が全く感じられなければすぐに気が付きます。またコーヒーの粉を舐めた時のような強い苦みがあってもすぐに気が付いたでしょう。しかし実際は『言われてみれば確かに少し苦みを感じるかな』程度だったので気が付きませんでした。食べ物の味が感じられなくなるのは相当亜鉛の欠乏が進んだ状態だと思います。

そもそも今回の貧血は日常生活では全く支障がなく、いたって元気です。早朝起床時心拍数の50bpmは、一般の方からすればむしろ低いでしょう。しかし持久系アスリートではその段階で競技パフォーマンスの低下や調子の悪さを少しずつ自覚し始めます。

自身もポイント練習時は練習内容に対する余裕度を必ず記入しますが、1月はほぼすべて『普通』だったのに対し、2月に入ってからはほぼすべて『余裕なし』の記述になっています。


自身の亜鉛欠乏性貧血の原因
これはあくまでも推測ですが、レースの3~4ヶ月前から貧血を予防するために市販の鉄剤(マスチゲン)を毎日1錠のみ続けていました。これだけで1日必要量の鉄を摂取できているのですが、そこからさらに食事でも鉄を意識した食材を食べ、ドリンクも鉄を含んだものを多飲し、間食に鉄を多く含んだシリアルに鉄を多く含んだ牛乳をかけて食べるといった生活を続けていました。とにかく+Feと書かれた食べ物を必要以上に摂取し続けていたような気がします。

恐らく1日必要量の2~5倍くらい数ヶ月にわたり鉄を過剰に摂取し続けたことで亜鉛の吸収が阻害され、結果、亜鉛欠乏性貧血を発症したのではないかと考えています。

鉄剤の過剰摂取に関してはこちらの論文が大変参考になりました。


まとめ
市民ランナーは常日頃から早朝起床時心拍数をしっかり計測することが貧血の早期発見につながります。早朝起床時心拍数が2週間以上高い場合は気のせいではなく何かしら原因があるはずです。その際に鉄欠乏性貧血と自己判断し鉄剤(サプリメント)を服用すると亜鉛欠乏を助長します。貧血の原因は複数あり、場合によっては鉄分を摂取するだけでは回復しません。そして気が付いていないだけで陸上長距離・マラソンランナーには亜鉛欠乏性貧血によりパフォーマンスが低下している事があるのではないかと思います。

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大腿四頭筋・内側広筋にできたガングリオン【マラソン・ランニング障害】 

ガングリオン】聞きなれない言葉かもしれませんが体の様々な場所にできる腫瘤(しゅりゅう)で“しこり・こぶ・腫れ”として見つかります。袋の中にはゼリー状の物質が詰まっています。発生頻度が高いのは手首周りや足の甲にできるガングリオンですが全身の至る所に発生します。

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大きさも米粒大からピンポン玉大まで様々で、軟らかいものから硬いものまであります。浅い所にできたガングリオンは体表から確認できますが、深い所にできたガングリオンは体表からは確認できません。ほとんどが無症状ですが時にガングリオンが痛みの原因になる事があります。


症例1 右大腿部・内側広筋にできたガングリオン

40代・女性市民ランナー

1年程前に右大腿部遠位内側に痛みを感じ整形外科を受診しレントゲン撮影で異常なし経過観察となる。1週間ほど前から痛みが強くなり治療院を受診。(その間マラソンの練習は継続できていた)

症状:ランニング痛(-)・膝屈曲痛(-)・局所の圧痛(+)・椅子からの立ち上がり動作で痛み(+)・膝立ち痛(+)・内側広筋遠位部の突っ張り感(+)・他動的に膝を曲げた状態から伸ばしていく際に痛み(+)

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市民ランナーで上記の場所に痛みがあれば普通は内側広筋肉離れ・大腿四頭筋腱付着部症・関節水腫・大腿骨遠位疲労骨折・タナ障害などを考えますが、この方は走っていてもあまり痛みがなく、主訴は仕事中に椅子に座った状態から立ち上がる際の鋭い痛みです。最近は少し仕事にも支障をきたしています。


エコー検査
大腿四頭筋(内側広筋・遠位)にプローブを当てると7mmx12mm程の腫瘤を確認できます。(下図黒丸)内部が低エコーで境界明瞭で後方エコー増強がありドプラモードで炎症が確認できなかったのでおよそガングリオンと思われます。

関係者用メモ(ただし軟部腫瘤に絶対はありません、表在性で無痛性で境界明瞭な5cm未満の可動性がある腫瘤でも悪性の場合があります、ちなみに大腿四頭筋内に発生するガングリオンは膝蓋上嚢が由来の場合が多いようです)

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下の図(右足)のの内側広筋の中にガングリオンができています。
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エコー動画

こうして見るとガングリオンは最近観測されたブラックホールにそっくりです。ちなみにこのガングリオンは体表から1cm程度の所にできていますが、視診では全くわかりませんでした。

治療
多くのガングリオンは無症状の為、経過観察することが多いです。経過観察中に自然に消失することも多々あります。痛みがある場合などは注射針を刺して注射器で吸引し内容物を排出します。複数回の穿刺・吸引が必要な場合もあり、それでも再発を繰り返す場合は手術で袋ごと摘出します。

日本整形外科学会のホームページにも無理やりガングリオンを押しつぶす(袋から飛び出した内容物は自然に吸収される)という荒業治療が紹介されていますが、あくまでも腫瘤がガングリオンと確認されてからです。しこり・こぶ・腫れの原因になるものは他に数えきれないほどあります。


市民ランナーは常に走っているので痛みがあるとどうしても筋肉・腱・靭帯・骨などに異常があると思いがちですが全く違ったものが痛みの原因になっている事もあるのですね。

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中足骨疲労骨折~足の甲の痛み~【マラソン・ランニング障害】 

市民ランナーで足の甲に痛みを感じた場合、それはもしかしたら疲労骨折かもしれません。疲労骨折とは『健常な骨に、通常は骨折しない程度の負荷が繰り返し加わって生じる骨折』です。今回は主に中足骨(ちゅうそくこつ)の疲労骨折について記述します。


初期の疲労骨折では痛みがあっても意外と我慢して走れてしまうので要注意です。パキッと折れる骨折とは違い骨の内部構造が壊れるイメージです。赤部分に痛みが出現します。ランナーの場合は特に第2・3中足骨の中央が好発部位です。
 
第二中足骨疲労骨折20190824  

疲労骨折の部位別頻度

病院で疲労骨折と診断された2,886名の統計が下の表になります。1位の腰椎は腰椎分離症と呼ばれる疲労骨折でほとんどが10代の若年者に発症し、市民ランナーが発症することはほとんどありません。

1位腰椎48.9%
2位中足骨18.4%
3位脛骨15.3%
4位腓骨4.2%
5位足舟状骨2.7%

中足骨の疲労骨折全体で言うと第5中足骨が最も多いのですが、このほとんどがサッカー選手で、陸上選手に限定すれば第2・3中足骨、特に骨幹部中央(真ん中)が好発部位です。


原因

多くがオーバートレーニングやオーバーユース(使い過ぎ)です。筋肉疲労が蓄積すると地面からの着地衝撃を吸収できず、骨への負荷が増える事が実験で確認されています。しかし初心者の市民ランナーでも走り始めて1~2ヶ月で疲労骨折を発症することが結構あります。

トラックや土のグラウンドよりも固いアスファルトでの練習の方が疲労骨折のリスクが高まります。また底の薄い裸足感覚シューズも疲労骨折の原因になり得ます。

女性ランナーでは慢性的に骨密度が低下している事があり注意が必要です。


中足骨疲労骨折の症状

腫れが確認できることは稀で、圧痛と運動時痛が主な症状です。初期の症状は軽度の痛みですが、起床時の歩き始めは痛みが強く、運動が不能になるほどの痛みは起こらないが、ランニングの継続により次第に痛みが増悪します。

靴ひもを強く結び過ぎて痛みが出ているだけだと勘違いされているランナーもちらほら見かけます。多くのランナーは足の甲が痛いと受診されます。


テスト法

・ホップテスト:痛みのある片足でジャンプを10回程度して痛みがあれば陽性。
・側方圧迫テスト:足の前足部を両側から手の平で圧迫して痛みがあれば陽性。


画像検査

レントゲンでは初期の疲労骨折は確認できない事が多々あります。レントゲンでは骨が修復される過程でできる仮骨(かこつ)で疲労骨折を診断しますが、この仮骨が形成されるまでに2~4週間かかります。
第二中足骨疲労骨折20190824-b  

第二中足骨疲労骨折20190824-5 

超音波エコー検査では初期の疲労骨折でも確認できます。骨皮質の膨隆や不整(骨がポコッと盛り上がったり凸凹する)や、骨の上の軟部組織の腫脹が疲労骨折の所見です。

正常な第2中足骨
中足骨疲労骨折・足の甲の痛み 

第2中足骨の疲労骨折
中足骨疲労骨折・エコー超音波検査 

第2中足骨疲労骨折のエコー動画
赤い点滅は炎症を表しています。骨が壊れるとそこを修復するために周囲から新しい血管が伸びてきます。つまり赤い点滅は『現在工事中』のサインです。
※プローブを動かす際の赤い点滅は関係ありません。



別の症例ですが掃除機を足の甲に落とし、通常の中足骨骨折をした市民ランナーのエコー画像です。

足の甲がパンパンに腫れ・圧痛が強いものの病院で2回レントゲンを撮りましたが異常なしと言われたようです。レントゲンでは異常が確認できなくても症状が強ければ基本骨折しているものとして対処することも大切です。
第2中足骨骨折20190705 (1) 

第2中足骨骨折20190705 (2) 


治療

一般的な中足骨骨幹部の疲労骨折であればランニングの中止のみで十分で、ギプス固定は必要ありません。4~6週間の安静後、ジョギングから開始します。

しかし安静にすると10日前後で日常生活での支障はなくなります。そうなると『4週間は安静を指示されたけれど、意外と痛みもないし、自分の場合は走っても大丈夫だろう!』と変な自信とともに走り出すと再度痛みが増悪するので注意が必要です。疲労骨折の部位によっては非常に治りにくい場合もあります(第5中足骨・舟状骨)ので自己判断には注意してください。

低出力超音波パルス・LIPUS(ライプス)と呼ばれる超音波を患部に週5回程度、1回20分照射すると骨折治癒期間が40%短縮されたりもします。LIPUS機能のある超音波治療器を設置している治療院を探してください。


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蜂窩織炎・腫れ・熱感・発赤【マラソン・ランニング障害】 

 マラソン・ランニングをしていて怪我をした際に組織が腫れる事がありますよね。しかし腫れの中には注意しなければいけない腫れがあります。それが熱感(触ると熱がある)や発赤(皮膚が赤い)を伴った腫れです。この場合、筋肉や腱、靭帯など運動器の障害ではなく、感染症の可能性もあります。

市民ランナーであれば靴擦れをおこしたり、トレイルランナーであれば転倒して脚に傷がある方もいるのではないでしょうか。その小さな傷からばい菌が侵入して増殖すると蜂窩織炎(ほうかしきえん)を発症します。特にフルマラソン等を走った後の1週間は免疫力が低下しているので要注意です。

蜂窩織炎とは黄色ブドウ球菌(おうしょくぶどうきゅうきん)や溶連菌(ようれんきん)と呼ばれる常在菌(普通に皮膚に存在している菌)が免疫力が低下したのをきっかけに皮膚の小さな傷から侵入し増殖する感染症です。

体は表面から表皮→真皮→皮下組織→筋肉→骨という構造ですが、蜂窩織炎はこの中の真皮から皮下組織(主に脂肪組織)に起こる感染症です。
蜂窩織炎20181214 


【症例1】
自身と一緒に亀岡ハーフマラソンに参加した30代男性市民ランナーKさん。2018年12月9日に亀岡ハーフを完走。その後12月13日頃に右膝のお皿の下あたりに痛みと腫れを自覚。ちなみに1週間前に受診した際は膝の不調はありませんでした。今回受診時の写真を下に表示します。
蜂窩織炎20181218 

確かに右膝のお皿の下が腫れています。触ると痛みがあり少しブヨブヨしています。レース後の膝の痛みなので普通に考えると『膝蓋腱炎・関節水腫・膝蓋前皮下包炎・膝蓋下脂肪体炎など』が頭に浮かびますが、よく観察すると少し発赤(ほっせき)を認めます。先ほど列記した障害では腫れはあっても発赤はありません。

さらによく観察すると膝の前に小さな傷があります。この方はお仕事で膝を突くことが多いとの事です。しかもレース後なので免疫力も低下していると考えられます。
蜂窩織炎20181218b 


エコーで膝蓋骨の下を観察すると通常は下図のように描出されます。(これは正常像です)
蜂窩織炎・腫れ・発赤・熱感 

Kさんの膝をエコーのドプラと呼ばれる炎症を表示する機能を使って観察すると、皮下組織(脂肪組織)に赤い炎症反応が多数確認できました。
蜂窩織炎・腫れ・発赤・熱感 

その為、蜂窩織炎を疑い皮膚科の受診をすすめて抗生物質の処方を受けられました。

下の動画は初診時からの経過をまとめたものです。


まぁ滅多に起こるものではありませんが、腫れは腫れでも『熱感と発赤を伴った腫れは要注意!』ということです。あとレース後1~2週間は自覚はなくても免疫力が低下しているので体調管理には気を付けて下さい。数年前、自身も萩往還140kmを雨と風の中で完走し、その3週間後に帯状疱疹を発症した経験があります。
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シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)のエコー画像・動画 

 初級者市民ランナーが走り始めたり、中上級者市民ランナーが急に練習量を増やしたり、インターバルやウィンドスプリントなどのダッシュ動作を繰り返すと下の赤色部分に痛みが出る事があります。俗にいうシンスプリントです。

しかしシンスプリントに関する記事は無数に存在するため、説明は省略して、エコー(超音波)検査ではどのように描出されるのかを中心に解説します。


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下腿部の断面とシンスプリントの好発部位

下の図は下腿部の断面です。一般的にシンスプリントは脛骨の下1/3の内側後方に好発します。正面ではないので少し触れにくい場所です。ちなみに脛骨(けいこつ)の前面には筋肉がなく、皮下脂肪の直下に骨があるため打撲などするとすごく痛いので『弁慶の泣き所』と言われますね。
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シンスプリントのエコー画像検査

下図のの部分からプローブを当てます。一般的に疲労骨折の場合は①から確認しますが、シンスプリントの場合は②から確認します。
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①からエコー画像を見ると皮下のすぐ下に脛骨が確認できます。
※左イラストは輪切りですがエコー画面は縦切りで左が頭側・右が足先側です
京都市・シンスプリント・脛骨過労性骨膜炎・整骨院・接骨院・病院・治療 

②からエコー画像を見ると脛骨の前に筋肉があるためやや骨は不鮮明になります。
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シンスプリントのエコー動画検査

エコーにはドプラ機能と呼ばれるものがあります。これは炎症が起こっているとその部分が赤く点滅するという機能です。プローブを移動する際には多少赤い点滅がみられたり、正常な血管も多少描出されますが、主に炎症で新たに作られた異常な血管を描出します。



動画の解説

一般的に組織が壊れるとそこを修復するために周囲の血管から新しい血管(髪の毛よりも細い)がニョキニョキ集まってきます。道路が陥没して壊れてしまうと砂利やセメントを積んだトラックが沢山集まってくる工事のイメージです。

小さな陥没であれば小規模な工事で終わるので1週間くらいで終了します。しかし工事中にもかかわらずさらに大きな災害が発生すると陥没が大きくなり工期が1ヶ月くらいの中規模工事が必要になります。そこで運悪くさらに災害が発生すると工期が3~6ヶ月を要する大規模工事が必要になります。

この炎症の像で今どのくらいの工事が体の中で行われているのかが分かります。ちなみに上の動画は中~大規模の工事で、スポーツ中だけではなく、日常生活での歩行でも痛みがある方です。(1ヶ月くらい前から痛みを感じ始めるも無理に練習を継続していた)

つまりシンスプリントを発症した際には体の中ではそこを修復するために工事が行われています。それを自然治癒力と言いますが、その自然治癒力を邪魔しないようにする事が一番大切です。炎症が起こっているのにマッサージなどをおこなうと確実に悪化します。

小規模な工事の段階であれば休まずに練習量の調整で治す事も可能です。しかし大規模な工事が開始されると練習を中止したとしても工事が終わるのに数ヶ月を要します。ただ軽度の痛みで練習を中止できないのが市民ランナーですよね。自分も『走っていればその内治るっショ』と楽観的なランナーです。


血管と神経の関係

上の動画で血管の増殖が確認されましたが、血管には必ず神経線維も伴走しています。つまり炎症により異常な血管が増殖すると神経線維も増えるために痛みに対して過敏な状態になります。それが圧痛(押すと痛い)です。ただシンスプリントの場所はやや深いところにある場合もあるため圧痛が不鮮明な場合もあります。




シンスプリントと疲労骨折の関係~少し難しいので興味がなければ読み飛ばしてください~

シンスプリントと疲労骨折は全く別物だとする意見と、シンスプリントがさらに悪化して疲労骨折になるとする意見と未だ結論が得られていません。しかし最近の高分解能MRIでの観察からシンスプリントと疲労骨折は関係があるとする意見が強くなっています。

骨の周りには骨膜(こつまく)と呼ばれる薄い膜があり、骨膜の下に皮質骨(ひしつこつ)があります。そして中央は空洞になっており骨髄(こつずい)と呼ばれます。
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ランニングやジャンプ動作で脛骨にストレスがかかり続けると最初に骨膜の炎症・肥厚が起こります。更にストレスがかかり続けると骨髄に出血・浮腫が起こります。更にストレスがかかると骨皮質に異常像・亀裂が起こります。

(皮質骨)に異常が現れるのは一番最後でまずは骨膜や中の骨髄に異常が現れます。①・②の段階ではMRIでは発見できますが、レントゲンでは異常は見つかりません。ちなみに骨膜は知覚神経と血管が豊富で意外と痛みの原因になります。

一般的にの段階ではシンスプリント の段階では疲労骨折 の段階では骨髄を輪切りにしたMRI画像で異常が一部にとどまっている場合はシンスプリント、異常が骨髄の全体や広範囲に広がっている場合は疲労骨折と判断されます。

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【ランナー専門外来】マラソン・ランニング・ジョギング障害治療

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膝蓋下脂肪体炎・ホッファ病【マラソン・ランニング障害】 

マラソン・ランニングをしていて膝のお皿(膝蓋骨)の下あたりに鋭い痛みを感じた場合、それはもしかしたら膝蓋下脂肪体炎(しつがいかしぼうたいえん)かもしれません。

膝蓋骨(しつがいこつ)の下の障害で有名なのは膝蓋腱炎(ジャンパー膝)やオスグット病ですが、少し知名度の低い障害に膝蓋下脂肪体炎があります。

膝蓋腱炎の場合は主に青丸●部分に痛みがありますが、膝蓋下脂肪体炎の場合は赤丸●部分に痛みがあります。痛みの場所は近いのですが、痛みの出る動作などに少し違いがあります。

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※鑑別診断には膝蓋腱炎・オスグッド病・変形性膝関節症・膝蓋大腿関節症・半月板損傷・前後十字靭帯断裂・離断性骨軟骨炎・滑液包炎・突発性骨壊死・脛骨高原骨折・鵞足炎・骨軟部腫瘍、その他がありますので素人判断は要注意です。


膝蓋下脂肪体とは

膝蓋骨の下にある膝蓋腱のさらに奥深くにある脂肪の組織です。脂肪と痛みって関係があるの?と思われる方も多いでしょうが、実は脂肪組織は痛みの原因になる事が多いのです。
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蛇足ですが、膝関節の中の組織の痛みの敏感度を表したのが下図です。色が濃い方が痛みを強く感じるのですが、膝蓋下脂肪体は真っ黒(4:Severe pain=激痛)で痛みをとても強く感じる組織です。逆に軟骨や半月板は色が薄くあまり痛みを感じません。

実はこれ、海外のDye先生が麻酔下で自分の膝の組織を一つずつ金属の棒で押してもらい痛みの程度を調べた有名なものです。膝蓋下脂肪体を押された時はさぞ痛かったでしょう。。。
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膝蓋下脂肪体炎・ホッファ病(Hoffa)とは

何らかの原因(過度な運動や打撲などの外傷)で膝蓋下脂肪体に微少出血・炎症が起こります。炎症により本来は弾力がありやわらかい脂肪体が結合組織性肥大を起こし線維化するために柔軟性が失われ硬くなります。簡単に言えば絹ごし豆腐が木綿豆腐に変わるとでも言いましょうか。

本来なら脂肪体は膝を伸ばすと前方へ移動するのですが、硬くなった脂肪体は膝を伸ばしても前方に移動できなくなり、伸ばし切った際に後方の関節内(大腿骨と脛骨の間や大腿骨と膝蓋骨の間)に挟み込まれる事で鋭い痛みを感じるようになります。

MRIでは脂肪体の炎症が確認できます。
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膝蓋下脂肪体炎の症状

・膝を伸ばし切った時に膝蓋骨の下に鋭い痛みを感じます
・膝にわずかな伸展制限(伸ばし切れない)がみられます
・膝を伸ばした状態で押すと痛みがありますが、曲げた状態で押すと痛みが消失・減弱します
・膝蓋下脂肪体の肥大が強いと膝蓋骨の下がぷくっと膨れています
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Hoffa sign(自分で確認する場合)

椅子に座って膝を曲げた状態で両サイドから膝蓋下脂肪体を押し、そのままの状態で膝を伸ばしていった際に痛みがあれば陽性になります。動画はYoutubeで確認できます。
(動画)※リンク切れ確認していません


エコー(超音波)検査で膝蓋下脂肪体を確認する

エコーでは下図の様に膝蓋下脂肪体を描出できます。
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エコーには組織が炎症を起こしているかどうかを確認するドプラと呼ばれる機能があります。ドプラ機能では炎症があると画面上に赤い点滅が表示されます。下の動画は同一人物の健側と患側ですが、痛みのある方は膝蓋下脂肪体に炎症反応が確認できます。




治療

動きの悪くなった膝蓋骨や硬くなった脂肪体を徒手的に動かしていきます。なかなか自分ではできませんがイメージ的にはこの動画※音あり(Youtube)の様な感じです。

また長座位で膝の下に丸めたタオルを置いて、太ももの前の筋肉を収縮させて押し付けていくリハビリ(パテラセッティング)も有効です。
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それでも痛みが改善しない難治性のものには膝蓋下脂肪体に直接ステロイド+局所麻酔薬を注射したり関節鏡による部分切除をする事もあるようです。

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二分靭帯損傷・踵骨前方突起骨折【マラソン・ランニング障害】 

ロードを走っていて足首を捻挫(ねんざ)する残念なランナーはそれ程いないと思いますが、トレイルを走っていると足首を捻挫することはあると思います。足首の捻挫では一般的に前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)を損傷することが多いのですが、それとは別の二分靭帯(にぶんじんたい)と呼ばれる少しマイナーな靭帯を損傷することもあります。

圧痛の部位が微妙に違います。
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二分靭帯はその名の通り、二つに分かれている靭帯です。踵骨→舟状骨をつなぐ踵舟靭帯(しょうしゅうじんたい)と踵骨→立方骨をつなぐ踵立方靭帯(しょうりっぽうじんたい)の2つをあわせて二分靭帯と呼びます。

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巷では前距腓靭帯の損傷に比べ二分靭帯の損傷は軽視されていて『放っておいてもそのうち治る』などと言われることもある可哀そうな靭帯ですが、実は場合によっては完治までに長期を要します。

当然、二分靭帯が単独で損傷する場合もありますが、前距腓靭帯やその他の靭帯と一緒に損傷する場合もあります。

まぁ二分靭帯の単独損傷であれば、テーピングやサポーターなどで固定し安静にすれば1~3週程度で痛みは軽減・消失するでしょう。

踵骨前方突起骨折

内返し捻挫の際に二分靭帯が断裂するのではなく、靭帯に引っ張られて踵骨前方突起しょうこつぜんぽうとっき)と呼ばれる骨の一部が裂離骨折を起こすことがあります。
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圧痛は二分靭帯と同じところにありますが、この場合は単なる二分靭帯損傷と判断して放置していると症状が長期化することがあります。下図黒○の部分が踵骨前方突起でそこに赤のラインの二分靭帯が付着します。
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実は踵骨前方突起骨折があったとしても、レントゲン検査では骨片が他の骨と重なるためにかなりの確率で見落とされてしまいます。CT検査をすれば確実に診断されますが、捻挫でいきなりCTを撮影することは稀です。痛みが半年~1年くらい続き、少しおかしいなと言うことでCTを撮影すると踵骨前方突起骨折が見つかることもあります。

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超音波エコー検査では比較的簡単に描出できます。

同一人物の健側
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同一人物の患側
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健側と患側
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踵骨前方突起骨折の動画


上記の方も初期にレントゲンを撮影されたそうですが骨折はないとの診断を受けました。受傷後3週間経過してもやけに痛みが強いなということでエコー検査を受けました。ちなみにこの方は前距腓靭帯の損傷と腓骨の裂離骨折もありました。強く足首を捻じると場合によっては複数個所を骨折することもあるんですね。
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受傷後、比較的早期に踵骨前方突起骨折が見つかればギプスでの固定を行い骨癒合を目指します。発見が遅れた場合にはサポーターなどでの固定が行われ痛みの軽減・消失を目指します。時に骨が癒合せず痛みが残存することがあり、その場合には手術による骨接合術や骨片摘出術が行われることもあります。骨癒合しなかった人すべてに痛みが残存するわけではありません。

インターネットで簡単に情報を得ることができるようになってはいますが、二分靭帯は基本的に安静にして湿布を貼っておけばそのうち治るという情報を鵜呑みにして放置するもなかなか痛みが引かない場合は踵骨前方突起骨折やその他の外傷・障害が隠れているかもしれませんのでお気をつけ下さい。

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大腿四頭筋の肉離れ【マラソン・ランニング障害】 

急激なダッシュ動作や体勢が崩れた際の踏ん張り動作で太ももの前面に痛みを感じたらそれは大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の肉離れかもしれません。

太ももの前面にある大腿四頭筋は4つの筋肉の総称です。内側に内側広筋(ないそくこうきん)・外側に外側広筋(がいそくこうきん)・中央の浅層に大腿直筋(だいたいちょっきん)・中央の深層に中間広筋(ちゅうかんこうきん)があります。

この中で肉離れを起こすのはほとんどの場合、中央の浅層にある大腿直筋です。※二関節筋のため

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エコーでは下図の様に描出されます。
長軸像(縦に見ている)
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短軸像(輪切りに見ている)
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症状


圧痛(押すと痛い)
突っ張り感
階段昇降時痛
ストレッチ痛
ランニング痛
しゃがみ動作時痛

重症度


腹臥位(お腹が下)で痛みのない方の膝と痛みのある方の膝を交互に曲げて、膝関節の動きにどれだけ制限があるかで判断できます。通常は角度計で計測しますが、無い場合は踵と臀部の距離(HBD:heel buttock distance)が簡便です。
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また太ももの中央に圧痛があれば比較的軽症の場合が多く、股関節や膝関節に近づく程に中等症~重症、もしくは治癒に時間がかかる事が多いです。中央の筋腹は血流が良く、筋肉と腱の移行部はやや血流が悪く、腱付着部はさらに血流が悪いためです。
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治癒・復帰までの期間


軽症で1~2週間・中等症で4~6週間・重症で3~6ヶ月。あくまでも目安です。


大腿直筋肉離れのエコー画像

筋線維(筋周膜)が途中で途絶しています。断裂部の周囲が明るく高エコーに描出されているのは周囲にじわじわと出血が広がっているためです。まずは長軸像です。
大腿四頭筋・大腿直筋・太もも肉離れ・京都・整骨院・接骨院 
 
次に別の症例の短軸像です。大腿直筋内に低エコー像が確認できます。
太もも・にくばなれ・ももかん 

次も別の症例の短軸像です。大腿直筋内に低エコー像が確認できます。

大腿直筋肉離れ20170824b 

一般的に肉離れを起こした筋肉は腫れて大きくなります。
大腿直筋肉離れ20170824 

動画



大腿部の打撲・挫傷


トレイルランニングで転倒し岩や木に太ももの前面を強打したり、コンタクトスポーツで相手選手の膝が入ったり(通称:ももかん)すると大腿四頭筋が損傷します。肉離れの時と違い、大腿骨のすぐ上にある中間広筋が損傷する事が多いです。皮膚の上から圧がかかると浅層の大腿直筋ではなく、深層の中間広筋が大腿骨に強く押し付けられ、時に筋肉内に血腫が確認できます。

エコーでは大腿部(この場合は外側広筋)に黒い血腫が確認できます。下図(長軸像)は患側と健側を並べています。
大腿部・太もも・打撲・痛み・京都 

下図は大腿部を輪切り(短軸像)にしたエコー画像です。大腿骨の直上に大きな血腫が広がっています。
大腿部・太もも・打撲・痛み・京都 

骨化性筋炎


打撲などで筋肉が損傷すると出血し時に血の塊である血腫(けっしゅ)ができます。その状態で十分な安静を取らずに不必要な刺激が加わると血腫内にカルシウムが異常に集積して石灰化が生じて骨が形成されます。本来ないはずの場所に骨ができるので大腿部に痛みや腫れ、関節の可動域制限(膝が曲げられない)などの症状が見られます。無理のない範囲で段階的にスポーツ復帰する事で徐々に小さくなります。(4~6ヶ月)

エコーでは骨化性筋炎は骨のすぐ直上に白い線として確認できます。そこでエコーが跳ね返されるので本来は描出されるはずのその下にある骨の輪郭が途切れます。
骨化性筋炎・大腿部・太もも・痛み 

骨化性筋炎・大腿部・太もも・痛み 

レントゲンでは下図の様に確認できます。受傷から最初の骨化が起こるまでに約1~2週間ですが、レントゲンで確認できるまでには約1ヶ月を要します。しかしエコーでは比較的早期に確認可能です。
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前下脛腓靭帯損傷・足首の捻挫【マラソン・ランニング障害】 

一般的に足首を捻挫すると、①前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)と呼ばれる靭帯を損傷・断裂します。しかし稀に『ただ捻挫しただけなのに中々治らない』場合、②前下脛腓靭帯(ぜんかけいひじんたい)と呼ばれる靭帯を損傷・断裂しているかもしれません。前下脛腓靭帯損傷では骨折を合併している事も多いので注意が必要です。

一般的な捻挫・前距腓靭帯損傷は
こちらのページへ。

※鑑別として、二分靭帯損傷、腓骨筋腱損傷・脱臼・腱鞘炎、踵骨前方突起骨折、距骨外側突起骨折、足根洞症候群、距骨骨軟骨損傷、衝突性外骨腫etc.があるので、安易な素人判断は危険です。

足首には脛骨(けいこつ)腓骨(ひこつ)と呼ばれる2つの骨がありますが、それらを結合しているのが脛腓靭帯です。脛腓靭帯は前にも後ろにもありますが、一般的に損傷するのは前下脛腓靭帯(以後は脛腓靭帯)です。

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痛みの出る場所

指で押した時の圧痛は前距腓靭帯の損傷では外くるぶしの前下方の赤丸にありますが、脛腓靭帯の損傷では外くるぶしの前上方の青丸にあります。脛腓靭帯の損傷は前距腓靭帯の損傷よりも疼痛が出やすい部位として知られています。
※靭帯結合(syndesmosis)は疼痛の出やすい部分。

脛腓靭帯の深層は豊富な脂肪組織があり、大きな血管が走っており、脂肪組織に分布する侵害受容器やこれらの血管および伴走している神経が傷つき、痛みが出ると考えられています。
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痛みの出る動きと徒手検査

前距腓靭帯の損傷では足首を底屈(下げる)や内返し時に痛みが出るのに対して、脛腓靭帯の損傷では足首を背屈(上げる)と痛みが出ます。足首を上に上げると脛骨と腓骨に離開する力が働き脛腓靭帯が刺激されます。

前距腓靭帯の損傷では普通に真っ直ぐ歩くだけならそれ程靭帯にストレスがかからない為に痛みが出ません。しかし脛腓靭帯の損傷では真っ直ぐ歩く、しゃがみ動作、階段昇降動作など足首が曲がるだけで脛腓靭帯に常にストレスがかかり続けるのでに中々治癒しにくいとされています。

脛腓靭帯の損傷を判断する一つの方法として外旋ストレステスト(External rotation test)があります。下の図の様に足首を回旋させると脛骨と腓骨の間が離開して脛腓靭帯にストレスがかかり痛みが誘発されます。

患者を椅子に座らせ膝を90°屈曲位にし、検者は片方の手で下腿の近位を把持し、もう一方の手で足関節中間位で足部を外旋させます。
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脛腓靭帯のエコー画像

脛腓靭帯は比較的太いが、薄い帯状の靭帯です。下のエコー像は下腿部を輪切りにした像で、画面の上がすね側、画面の下がふくらはぎ側です。矢印の正常な脛腓靭帯が2つの骨を橋渡しするように走行しています。
前下脛腓靭帯損傷・AITFL・足首の捻挫・エコー 

下図は脛腓靭帯損傷のエコー画像です。靭帯が上手く描出されず低エコーになっています。
前下脛腓靭帯損傷・AITFL・足首の捻挫・エコー 

下図は同一人物の良い方の足と悪い方の足を並べています。違いがはっきり分かります。
脛腓靭帯損傷・断裂・エコー 

重症例の場合、レントゲン撮影で脛骨と腓骨の間にスペースが確認されます。
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分類と治療

Gerberらは理学所見と画像所見から損傷の程度を

Grade1:不安定性なし
Grade2:ある程度不安定性あり
Grade3:明らかな不安定性あり

に分類しました。Grade1,2では脛腓間にストレスのかかる動作は極力控え。しっかりと固定し靭帯の自然修復を促します。Grade3は手術です。金属スクリューで脛骨と腓骨を固定し、術後8~12週程度でスクリュー折損のリスクを考慮して抜去します。

Grade1と2のスポーツ復帰までのロードマップ

受傷~4日(急性期)
・疼痛が強ければ固定・RICE療法・足関節自動運動・疼痛の無い範囲での荷重

4~14日(亜急性期)
・足関節自動運動・交代浴・全荷重・足関節抵抗運動・固有感覚トレーニング

2~4週(治癒期)
・トランポリン・トレッドミル歩行・ジョグとラン・スクワット・ジグザグステップ・8の字走行

4~8週(復帰)
疼痛なく30秒の繰り返し片足飛びができれば復帰を許可。不安があれば装具もしくはテーピングをさせて復帰。

個人的には4週で復帰できれば御の字で、完全復帰には実際もう少し時間(2~3ヶ月)がかかっている印象です。まぁ市民ランナーがロードのランニングで損傷はしないでしょう。もしするとしたらトレイルランニングでしょうか。それ以外では圧倒的にアメフトやラグビーで損傷するため、相当良くならないと全力でプレーできません。

兎に角、普通の足首の捻挫よりも治りにくいのでスポーツへの復帰は慎重に。

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スポーツによる足関節捻挫のうち10~20%が脛腓靭帯結合損傷であるといわれていますが、アメリカンフットボールでは75%、アイスホッケーでは74%と高い発生頻度が報告されています。ちなみに上図のエコー画像もラグビー選手です。

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参考文献
鈴木大輔,寺本篤史,渡邉耕太,名越智.遠位脛腓靭帯の解剖と機能.関節外科 2014;33:15-20
寺本篤史,渡邉耕太,鈴木大輔,山下敏彦.新鮮遠位脛腓靭帯損傷の病態とスポーツ復帰までの治療.関節外科 2014;33:76-80

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