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大腿四頭筋腱付着部炎(ジャンパー膝)【マラソン・ランニング障害】 

ランニングの着地動作やトレイルランニングでの階段昇降時に下の部分に痛みがあれば大腿四頭筋腱付着部炎が疑われます。別名ジャンパー膝とも呼ばれています。

バレーボールやバスケットボールなどのジャンプ動作を繰り返すスポーツで好発すると理解されていますが、実際は多様なスポーツで発症します。ただバレーボール選手では発生頻度が高く、Ferrttiの報告では407名中93名(22.9%)に発生し男女差はありませんでした。
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症状


ランニングでの着地動作やジャンプ動作で痛みが出現します。最初は軽い痛みですが、痛みを我慢しつつ練習を継続していると徐々に悪化し、最終的には日常生活での歩行や階段昇降が困難になります。
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原因


基本的には練習での使い過ぎ(オーバーユース)ですが、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)が硬い場合や股関節と足首が硬い場合はより発症しやすくなります。特に股関節や足首が着地動作時にしっかりと曲がらないと大腿四頭筋腱に大きな負荷が加わります。

また骨盤の前傾も重要で、例えばトレイルの下りで怖くて腰が引けた骨盤が後傾した状態で着地するのも大腿四頭筋腱に大きな負荷が加わります。

組織変化


運動やトレーニングをすれば腱や筋肉には多少のキズが入ります。しかしほとんどの場合、そのキズはすぐに修復されます。しかし修復している途中でまた同じようなキズが入ると組織は正常には修復されません。正常に修復されなかった組織は変性に至ります。変性とはわかりやすく言うとAという組織が壊れてA’になるも修復されてAに戻るのが正常ですが、変性の場合はAという組織が壊れてA'になりうまく修復されずにBになるという感じです。

特に部分断裂して痛みがあるにもかかわらず我慢して練習を継続すると組織の変性が起こります。

また通常の腱には血管や神経はあまり存在しないのですが、変性すると腱の中に血管や神経が侵入します。そうなると痛みに対して過敏な状態になり、少し押したり伸ばされたりするだけで痛みを強く感じるようになってしまいます。

治療リハビリ


股関節や足首の可動域をしっかり広げるエクササイズや大腿四頭筋のストレッチなどはどこにでも書かれているので割愛します。特殊な治療としてはヒアルロン酸注射、PRP、体外衝撃波、運動器カテーテルなどがありますが、これも割愛します。

医学的根拠(エビデンス)があるリハビリは大腿四頭筋の遠心性トレーニングです(ただしジャンパー膝の中でも膝蓋腱炎で検証されています)。遠心性とは例えばダンベルを手に持った場合、肘を曲げていくのが求心性、曲げた肘をゆっくりと伸ばしていくのが遠心性トレーニングです。

eccentric decline squat(エキセントリック・デクライン・スクワット)で検索すると動画や画像が確認できます。【eccentric=遠心性、decline=下り坂、squat=スクワット】

Eccentric-decline-squat.png

上半身をしっかりと直立させ、傾斜25度の下り坂で、片脚(痛い方)の膝を60~90°屈曲させます。負荷が軽すぎては効果が期待できないのであえて中程度の痛みがでるように重りを入れたカバンを背負って負荷を調整します。エクササイズ終了後の軽い痛みは問題ありません。※上の写真では右足が痛みのある脚です。

重要なのは遠心性という事です。つまり片脚立ちで膝を曲げる=下ろしていくのがトレーニングですので、膝を曲げた状態から元に伸ばしていく際は両脚を使って元のポジションに戻ってもらって構いません。つまり曲げる=下ろすだけのトレーニングです。

これを1日90回(朝15回x3セット、夜15回x3セット)行います。期間は12週間、約3ヵ月継続します。
※ただし急性期で炎症が強い時期に行う際は要注意です!

超音波エコー検査


エコー検査では下記のように大腿四頭筋腱が確認できます。
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健側
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患側
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健側患側を見比べてみると画像上は大きな違いはありませんが、患側では繰り返しのストレスにより膝蓋骨に骨棘(こつきょく)ができています。市民ランナーでも膝蓋骨の上部が痛いと訴える方でエコーを撮影すると痛みのある方だけ骨棘が確認できることがよくあります。それだけ片方だけにストレスが集中しているサインです。

また静止画ではわかりませんが、エコーでは炎症の有無をドプラと呼ばれる機能で確認できます。炎症などが起こっている部分は赤い点滅が確認でき、その部分には血管や神経が密集し、痛みに対して過敏な状態になっています。


上記の動画では患側では大腿四頭筋腱が膝蓋骨に付着する部分で局所的な炎症が確認できます。

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膝の外側側副靭帯損傷【マラソン・ランニング障害】 

ランニングやトレイルランニングをしていて膝を捻じったり大きく転倒した後から膝の外側のやや後方に痛みがしつこく残存している場合、外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)を損傷している場合があります。しかし膝の外側にはランニングで痛めやすい腸脛靭帯大腿二頭筋腱また外側半月板などもあるため、安易な自己診断は注意が必要です。



外側側副靭帯とは

膝には主要な靭帯が4つあります。前十字靭帯(ACL)後十字靭帯(PCL)内側側副靭帯(MCL)外側側副靭帯(LCL)です。外側側副靭帯は4つの膝の靭帯の中では損傷頻度が比較的まれです。内側側副靭帯は幅が広く、外側側副靭帯は幅の狭い”ひも“の様な形をしています。

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外側側副靭帯は大腿骨と腓骨をつなぎ膝関節を安定させる役割があります。

受傷起点

多くはサッカーやラグビーなどのコンタクトスポーツで側方からタックルを受けた場合や、柔道や相撲などで不安定な体勢で投げられた場合に受傷します。また膝から下を強く内側に捻じったりすることでも受傷します。

特に不整地を走るトレイルでは下図のように着地の際に痛めてしまう可能性があります。

外側側副靭帯を単独で損傷する場合もありますが、それ以外の後十字靭帯や外側半月板なども併せて損傷することも稀ではありません。

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症状

・膝の外側の強い痛み
・膝の外側の腫れ
・膝を曲げ伸ばしした際の痛み
・膝の不安定感(重症)

特徴的な症状は膝の不安定感です。『膝が抜ける』『膝が外れる』といった表現をされる方もいます。スポーツでの急な方向転換やあぐらをかく動作で著明に現れます。それ以外の症状は外側側副靭帯損傷でなくても現れます。また同時に近くの腓骨神経を損傷し、下腿から足先の痺れが現れる場合があります。
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治療

痛みや腫れが強い時期はしっかりと安静を保ちます。無理に曲げたりするのは厳禁です。痛みや不安定感が強い場合はギプスやサポーターなどでしっかりと固定します。

ある程度痛みが引いてきた段階で太もも周りの筋肉をトレーニングで鍛えましょう。両脚スクワット、片脚スクワット、フロントランジなど少しずつ負荷をかけていきます。

その他、内転筋や殿筋なども着地動作で外側側副靭帯への負荷を軽減させるために重要です。

エコー検査

外側側副靭帯は大腿骨外側上顆(だいたいこつがいそくじょうか)から起始して、腓骨頭(ひこつとう)に停止します。エコー検査では正常な外側側副靭帯は下図のように確認できます。
膝外側側副靭帯損傷LCLtear京都

正常像との比較
膝外側側副靭帯損傷京都整骨院治療
大腿骨側の起始部で外側側副靭帯の低エコー(黒くなる)が確認できます。

膝外側側副靭帯損傷京都整骨院治療
正常像に比べ損傷像では著明に靭帯が太く腫れていて蛇行しているのが確認できます。

エコーでは組織に炎症が起きているかを確認するドプラ機能があります。炎症が起こっている部分には赤い点が現れます。(正常像でプローブを動かす際に現れる赤い点は炎症とは関係ありません)


上記の動画では正常像に比べて損傷した外側側副靭帯は全体的にかなり腫れて太くなり蛇行しています。

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足底線維腫症・足裏のしこり【マラソン・ランニング障害】 

足の裏の土踏まずに痛みや突っ張り感を感じて、よく見てみるとポコッと“しこり”や“こぶ”のようなものができていた場合。もしかしたらそれは足底線維腫(そくていせんいしゅ)かもしれません。※ただのタコ、うおのめ、ガングリオンの可能性も否定できません。
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足底線維腫とは

外傷や機械的な刺激により足底腱膜にできた良性の腫瘍です。一般的には足の土踏まずのところにできます。目で見てわかる大きなものから、肉眼では確認できず、押すと痛みを感じる小さなものまでサイズも様々です。

足底腱膜炎では赤丸〇部分に痛みがありますが、足底線維腫では紫丸〇部分に痛みがある事が多い印象です。

plantarfibroma・足底線維腫症



原因

足底線維腫の原因はまだはっきりとわかっていません。しかしおそらく足底腱膜の損傷と修復を繰り返すうちに徐々に組織が瘢痕化(はんこんか・硬い組織に変わっていく)したものだと考えられます。

市民ランナーであれば、足に合わないシューズでの練習、トレイルランナーであれば倒木を踏んだりガレ場での突き上げなどが原因として考えられます。
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余談ですが世間に厚底シューズなどまだ無い時代に肉眼でもはっきりわかる足底線維腫症の市民ランナーを診ましたが、ポイント練習はアシックスのターサー(薄底シューズ)。普段のジョグもターサー。おまけに100kmのウルトラもターサーでした。昔のターサーは土踏まずのところにプラスチックのような硬い素材が入っていたのでそれが原因だと思いました。
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症状

無症状でポコッとした膨らみに気が付いて受診される方もいらっしゃいますが、多くは足底腱膜炎と同じく、朝一歩目の痛み歩行時の痛み、また土踏まずの突っ張り感押すと痛みを感じる等です。


治療

症状が強くなければ経過観察で構いませんが自然に小さくなることは稀です。シューズ等に原因があると思われる場合はクッション性のあるシューズに変更します。場合によっては土踏まずに負担のかからないインソールなどが有効です。

ステロイドを数回注射する事で小さくなることもあるようです。手術にまで至ることはほとんどありません。


エコー画像検査

下の図のようにエコーで足底腱膜を観察しています。
plantarfibroma・足底線維腫症

通常の足底腱膜のエコー画像↓

plantarfibroma・足底線維腫症・しこり・こぶ・土踏まず


足底線維腫症のエコー画像↓

plantarfibroma・足底線維腫症・しこり・こぶ・土踏まず
足底腱膜の一部が局所的に紡錘状に膨らみ黒くなっています。このサイズの足底線維腫は体表からはほとんどわかりませんでしたが、指で足底腱膜を押すと少し膨らみを感じられました。

足底線維腫症のエコー動画


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有痛性外脛骨障害【マラソン・ランニング障害】 

市民ランナーで練習量の急激な増加や捻挫などの外傷をきっかけに、下図の部に痛みがしつこく残存している場合、それはもしかしたら有痛性外脛骨障害(ゆうつうせいがいけいこつしょうがい)かもしれません。
有痛性外脛骨・京都市・整骨院・接骨院




外脛骨とは


体の中には過剰骨(かじょうこつ)と呼ばれる、余分な骨が一定の割合で存在します。外脛骨は足部の過剰骨としては頻度が高く、約5人に1人の割合で存在し8~9割は両側性です。足の舟状骨(しゅうじょうこつ)と呼ばれる骨の近くにできます。下図の〇部分。
外脛骨・舟状骨・後脛骨筋・京都市治療院

外脛骨の存在自体は特に臨床的に問題にはなりませんが、運動での過負荷や捻挫などの外傷をきっかけに疼痛を伴う有痛性外脛骨となることがあります。

レントゲン写真では下図のように確認できます。
外脛骨・中京区・右京区・上京区・下京区・南区・伏見区

足の舟状骨には後脛骨筋(こうけいこつきん)の腱が付着しています。外脛骨はこの後脛骨筋腱の中に存在します。ですからランニング動作での後脛骨筋腱による引っ張りで繰り返し刺激を受ける事になります。
有痛性外脛骨障害・内くるぶし・痛み・京都市


症状


・足の内くるぶしの前下方の隆起部を押すと圧痛がある。
・シューズが足に合っていないと発赤や腫脹が発生する。
・膝を伸ばした状態で足首を背屈させると痛みがある。
・つま先立ちをすると痛みが強くなる。
・ランニング時やランニング後に痛みが増悪する。
・多くの場合は偏平足を伴っている。
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外脛骨の分類(Veitch分類)


タイプ1:外脛骨は小さく(2~3mm程度)、舟状骨から分離して後脛骨筋の中に含まれている。
タイプ2:舟状骨と線維性(線維軟骨性)に結合しており、後脛骨筋付着部の一部となっている。
タイプ3:舟状骨と骨性癒合し、外脛骨は突起状を呈している。
内くるぶしの痛み治療・京都市・整骨院・接骨院

この中で痛みが出現するのはタイプ2だと言われています。タイプ2は舟状骨と外脛骨が線維性の組織で繋がっています。この線維性の組織が断裂や損傷し痛みの原因となります。実際の術中所見においては、殆どの症例で線維性結合組織部の内部に亀裂が生じており、外脛骨がぐらつくのを確認することができるそうです。


治療・リハビリ


有痛性外脛骨の多くは偏平足を伴っています。足のアーチが下がるとそれだけ後脛骨筋腱による牽引力が強くかかってしまうので、アーチサポートのあるインソールや舟状骨パットなどを使用し負荷を軽減させます。

また後脛骨筋やふくらはぎの筋肉が固くなる(痙縮)と腱の牽引力が強くなってしまうので、フォームローラーやマッサージガン、ストレッチングでそれらの筋肉をしっかりとほぐします。

それと同時に後脛骨筋の筋力トレーニングを行います。壁に両手をついた状態で両足でつま先立ちをした後にゆっくりと降ろしていきます。ただし痛みが強い時期やトレーニングで痛みが増悪する場合は控えて下さい。

踵の部分にテニスボールなどを挟みながらカーフレイズを行うと、後脛骨筋を選択的に刺激できます。
外脛骨障害・リハビリ・トレーニング・京都市中京区西院

また通常のカーフレイズに関しては有痛性外脛骨障害をお持ちのランナーはどちらかと言えば母指球側に過度に体重が乗ってしまう方が多いので下図の左のように小指球側に体重を乗せて両方の足裏が向かい合わせになるイメージで行うとより効果的だと考えられます。
外脛骨障害・トレーニング・京都市中京区右京区西院

タオルギャザリングで足底の筋肉(足内在筋)のトレーニングも行いましょう。

ランニングシューズに関しては必ずしもこれが良いというシューズは存在しませんがその日の練習シューズによって痛みが軽減したり悪化したりするという話は頻繁にお聞きします。こればっかりは自分に合うシューズを見つけるしかありません。

それでも痛みが取れない場合はステロイドの注射を考えます。最終手段は手術ですが、手術では後脛骨筋腱を付着部付近で縦切して中の外脛骨を摘出します。(単純摘出術)


エコー画像検査


エコーでは外脛骨の有無や炎症の度合いを確認できます。ただし約5人に1人の割合で外脛骨は存在します(8割以上は両側性)。なのでエコーやレントゲンで外脛骨の存在を確認してもそれが必ずしも痛みの原因とは限りません。
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有痛性外脛骨のエコー動画
以前から登山で少し痛みを感じる事があったが、6月頃に捻挫をしてから症状増悪。11月時点でも痛みが残存。偏平足あり。健側はエコーで見る限り外脛骨は確認できません。


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痛風性関節炎・足の親指や甲の激痛【マラソン・ランニング障害】 

男性市民ランナーで急に足の親指や甲に強い痛みと腫れが出現した場合、それはもしかしたら痛風発作かもしれません。最初の発作は足の親指のつけ根に起こることが最多で、くるぶし、かかと、アキレス腱、足の甲を含めると9割以上が足に起こります。普段から走っている市民ランナーではスポーツ障害と誤認してしまうかもしれません。


 
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痛風とは

体の中では代謝の過程で尿酸が作られ、それらは腎臓から尿として、腸管から便として排泄されます。この作られる量と排泄される量のバランスが崩れ、血液中の尿酸が増加すると溶けきれなくなった尿酸が関節で結晶化します。この結晶がなにかのきっかけで剥がれ落ちると白血球が異物として認識して攻撃をしかけ炎症が起こり激しい痛みに襲われます。

典型的な痛風発作では痛みが激しく歩行困難になることもあります。一般的には10日前後で軽快しますが、放置すると数ヶ月に1回や数年に1回、痛風発作を繰り返します。

血清尿酸値の正常上限は7.0mg/dlで、これを超えると高尿酸血症と診断されます。

原因

ほとんどが体質(遺伝的要因)だと言われています。なので自分は普段から食生活に気をつけて、適度にランニングをしていると自負していても健康診断で高尿酸血症と診断されるかもしれません。

大規模な調査では30歳~40歳代男性の約3割が高尿酸血症だという事です。思っている以上に多いですよね。尿酸産生量は20~40歳頃に増加し、その後減少するため60歳を過ぎると高尿酸血症の頻度が減少することが報告されています。

患者の約98%が男性ですが、女性はもともと血中の尿酸濃度が男性に比べて低いため痛風にはなりにくく、さらに女性ホルモンのエストロゲンには尿酸の排泄を促進する働きがあるためです。

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※男性のみの数値ですが、全体で見ても25%以上です。ただし血清尿酸値が7.5mg/dlの方と9.5mg/dlの方では痛風発作のリスクが全然違います。

ランニングと痛風

痛風は季節的には7月の暑い時期に患者が増えます。暑さで汗をかき体内の水分が少なくなるものの、汗からは尿酸はほとんど排泄されず血中の尿酸濃度が高まるためだと考えられています。ランナーの場合、暑い時期にランニングをすると平気で1.5~2Lくらいの発汗があります。

高尿酸血症の場合、1日に2L以上の水分摂取を指導されますが、市民ランナーの場合はそれ以上の水分摂取が必要になるかと思います。

高尿酸血症の方の場合、短い時間に筋肉を激しく使い、瞬発力を要求される運動をすると尿酸値は上昇します。(ウェイトトレーニングなど)しかしランニング・ジョギングなどの有酸素運動では尿酸値は上がりません。

400mx10本等のレペティションはやや前者に当たるとは思いますが大丈夫なんでしょうか?わかりません。


血清尿酸値と薬

痛風発作を起こしている最中は炎症反応の影響で腎臓からの尿酸排泄が亢進しており、血清尿酸値を測定すると半数ほどの方で正常値以下を示すことがあるそうです。その場合は発作が治まってから再度血液検査をする必要があります。

高尿酸血症でも尿酸値が8.0mg/dl未満で過去に発作の経験がなければ薬は必要ありません。8.0~8.9mg/dlであれば総合的に判断して薬を処方される場合もあります。尿酸値が9.0mg/dl以上になってしまうと痛風発作や合併症を起こす危険性が極めて高いのでほとんどの場合、薬物療法を始めることになります。


エコー画像検査

エコーでは患部の炎症の程度と関節に蓄積した尿酸塩結晶の有無を確認できます。

Double contour サイン
エコーでは骨は白い線として描出されます。そして関節面の骨の表面には軟骨があります。軟骨はエコーでは黒い像として描出されます。その軟骨の表面に尿酸塩結晶が蓄積すると二重の輪郭が描出され、これをDouble contour sing(ダブルカントアーサイン)と呼びます。contour=輪郭。ちなみに患側と比較しようと健側を調べても同じように二重の輪郭が確認できることがあるので、高尿酸血症の方では症状が全くないあらゆる関節に日常的に尿酸塩結晶は蓄積しており、いつ発作を起こしてもおかしくない状態なのでしょう。

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痛風・痛風性関節炎・double contour sign 

ちなみに薬物療法で血清尿酸値を6.0mg/dl以下で良好にコントロールしても関節内の尿酸塩結晶が消失するには2年ほどかかると言われています。その間は痛風発作のリスクがあるため要注意です。


痛風性関節炎のエコー動画
赤い点滅が炎症を表しています。男性Aは母趾のMTP関節に、男性Bは足の甲に。2人とも血清尿酸値は9.0mg/dl以上です。男性Bは2年前からスポーツ中に足の甲の痛みを自覚していましたが、自身が痛風だと知ったのは痛風発作を起こす3ヶ月前にたまたま受診した健康診断でした。




なぜ足に好発するの?

痛風発作が足の親指に好発することをご存知の方も多いでしょうが、なぜ足に好発するのでしょうか?

熱いコーヒーと冷たいコーヒーに砂糖を入れると冷たいコーヒーの方が砂糖が溶けきらないのは想像できます。それと同じように尿酸も冷たいところでは溶けずに結晶化してしまいます。

一般的に脇の下で体温を測ると36.5℃くらいですが、足先では10℃以上も低かったりするのです。その場合は26.5℃ですが、冷え性の方では10℃台にまで低下することも。そうなると尿酸値が高い方は徐々に関節の軟骨表面に結晶が蓄積されていきます。


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亜鉛欠乏性貧血【マラソン・ランニング障害】 

マラソンの練習をしていて最近どうも調子が上がらない、以前は楽に走れていたペースが少しきつい、そんな謎のパフォーマンスの低下を感じた時、まず疑うのが貧血だと思います。

2020年の1~2月に自身が亜鉛欠乏性貧血と思しき症状を発症したのでそれを踏まえてまとめています。鉄欠乏に関する記事は沢山ありますが、亜鉛欠乏に関する記事はほとんどありません。かなり長文ですが検索で辿り着いた方の参考になれば幸いです。

貧血と言えば鉄欠乏性貧血が有名ですが、実はそれと同じくらい重要な貧血があるのをご存知でしょうか?そう、亜鉛欠乏性貧血(あえんけつぼうせいひんけつ)です。確かに鉄欠乏性貧血に比べるとやや頻度は落ちますが、血清学的に亜鉛の過不足の調査が行われた際には亜鉛欠乏と推定される人が約20%、潜在的欠乏と推察される人が約10%、トータルで約30%もいることがわかりました。

また『陸上の実業団の男子選手の約15%、女子選手の約30%に亜鉛不足による貧血がみとめられるとの報告もあります。


亜鉛とは
必須微量元素(ミネラル)には鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン、コバルトの9種類があり、亜鉛は鉄に次いで人体に多く含まれる必須微量元素(ミネラル)であり、不足に関して注意を払う必要のある栄養素です。

亜鉛は鉄と違って貯蔵システムをもたないので(鉄はフェリチンとして貯蔵できる)、トレーニング等によって失われた分は食事によって日々補充し続けなければ定常状態を維持できません。


亜鉛の欠乏による症状
貧血、鉄、亜鉛、マラソン、ランニング 

この中で市民ランナーが気を付けなければいけない症状が貧血です。亜鉛不足によって赤血球の細胞膜が軟弱になり、溶血しやすくなる事が一つの原因です。ただでさえランニングでは着地衝撃により足底で溶血が起こるため、赤血球が壊れ易いのはかなり問題です。

亜鉛欠乏性貧血、陸上、長距離 


亜鉛欠乏の原因
亜鉛はバランスの良い食事を摂っていれば大きな不足の心配はありませんが、現在の日本人は一日の摂取推奨量(男性10mg、女性8mg)に対し、男女ともに1mg程不足しているようです。また市民ランナーの場合、体重を気にするあまり過度な食事制限をすることも亜鉛欠乏を招きます。

また激しい長時間のマラソントレーニングによって、亜鉛の吸収が低下するだけではなく、尿中亜鉛が増加し、夏場などでは多量の発汗によりさらに多くの亜鉛を失います。

そしてもう一つ大きな落とし穴が鉄と亜鉛の吸収経路は共通であるため鉄剤の長期服用が亜鉛の吸収を妨げてしまうのです。鉄と亜鉛は吸収の段階で拮抗しあうため、サプリメントなどで鉄を含んだものを過剰に摂取すると亜鉛の吸収が抑制され、結果として亜鉛欠乏を招きます。

つまり鉄と亜鉛はシーソーのような関係で、一方を過剰に摂取するともう一方の吸収が阻害されます。ですから『あれっ、最近調子が上がらないし、もしかしたら貧血かな?』と感じたとしても安易に鉄剤(サプリメント)を服用すると原因が亜鉛欠乏の場合、さらに症状を悪化させてしまうのです。鉄剤(サプリメント)を服用しても貧血が十分に改善されない場合には亜鉛欠乏性貧血を疑う必要があります。


自身が亜鉛欠乏性貧血を発症した経験談

最初に体の異常を感じたのは2020年1月19日でした。その日は高槻ハーフマラソンに参加予定で、当日朝にその日の調子を確認するため、久しぶりに早朝起床時心拍数を計測しました。すると50bpmと高い数値が表示されました。自身の起床時心拍数の目安は、調子が良い:42bpm、普通:45bpm、調子が悪い:48bpmなのでこの日の50bpmはかなり高い数値です。ちなみにその一つ前は2019年12月31日の45bpmでした。

早朝起床時心拍数が高い場合①貧血②疲労③風邪などを疑いますが、この時はまだ②疲労だろうと考えていました。

なぜなら直前1週間でポイント練習を詰めて3回行ったのと、睡眠時間が短かったのもあったからです。少し調子が悪いだけだろうと挑んだハーフは目標が余裕をもって1時間20分台(3'50/km)だったにも関わらず実際は1時間24分(4'00/km)もかかりました。

ところがその1週間後の30kmの大会では1時間57分(3'55/km)で走れたりもしたのです。ただこの時も本来は余力をもって走る予定でしたが、実際は全く余裕がありませんでした。そしてこの日の早朝起床時心拍数も50bpmを超えていました。

しかしこの時点でもまだ自身が貧血を発症しているとは全く自覚していません。鉄分の摂取にはかなり気を付けていましたし、その後もポイント練習はぼちぼちこなせていました、自覚症状的にも調子はまずまずでした。

決定打は2020年2月23日の姫路城マラソンに向け、10日前からテーパリングの為に早朝起床時心拍数を再度計測し始めた時です。2月14日に計測するとまだ51bpmでした。それでも練習を積んできてまだ疲労が抜け切れていないだけだと疑わず、あと1週間、練習量を落としていけば本番までに心拍数も下がるだろう考えていました。

しかし3日前になってもまだ50bpmだったので『これは絶対に何かおかしい!かれこれ1ヶ月以上早朝起床時心拍数が50bpmを超えている』『えっ?もしかして疲労ではなく貧血ではないのか?』とレースの3日前に気が付く痛恨のミス。(笑)良いのか悪いのかレースは中止になりました。

ここで皆さんが疑問に思うのが『なぜ貧血だと認識して鉄欠乏性貧血ではなく亜鉛欠乏性貧血の方を疑ったのか?』です。

亜鉛欠乏による症状で有名なものに『味覚障害』(味が感じられない・口の中で苦みや渋みを感じる)があります。舌には味蕾(みらい)と呼ばれる細胞があり、短命のいわば使い捨ての細胞で、新陳代謝が盛んです。その味蕾の新陳代謝に不可欠なのが亜鉛で、欠乏すると細胞分裂ができなくなり機能が低下して味覚障害を発症します。

そして実は1月中旬からはっきりとした舌の症状があったのです。その症状とは『ここ最近、随分と口の中や舌が乾燥するなぁ』といったものでした。それは1日中感じるはっきりとした症状です。しかし亜鉛欠乏による症状とは自覚しておらず『鼻が詰まって寝ているときに口呼吸をしているから乾燥しているのだろう』『冬場はあまり水を飲まないから脱水気味で乾燥しているのだろう』とずっと解釈していました。

また亜鉛欠乏の症状に『舌痛症』『口内炎』がありますが、自身の舌先にも食べ物や歯が当たると時々ピリピリ痛みを感じていました。しかしそこまで強い痛みではなかったのでこれも『熱い食べ物を食べた際に軽く火傷したのだろう』『歯ブラシで舌を磨いた時に少し傷つけたかな』と解釈していました。

そういった経過があったので貧血を認識した際に『はっ!もしかしてこの1ヶ月続いている舌の違和感は亜鉛欠乏による症状だったのでは!』と思い至ったわけです。そして後々考えてみるとずっと不快だった舌の乾きは認識のしかたによっては舌の苦みと言えなくもない症状でした。また舌先をよく鏡で見てみると小さな赤い点々ができています。

食べ物の味が全く感じられなければすぐに気が付きます。またコーヒーの粉を舐めた時のような強い苦みがあってもすぐに気が付いたでしょう。しかし実際は『言われてみれば確かに少し苦みを感じるかな』程度だったので気が付きませんでした。食べ物の味が感じられなくなるのは相当亜鉛の欠乏が進んだ状態だと思います。

そもそも今回の貧血は日常生活では全く支障がなく、いたって元気です。早朝起床時心拍数の50bpmは、一般の方からすればむしろ低いでしょう。しかし持久系アスリートではその段階で競技パフォーマンスの低下や調子の悪さを少しずつ自覚し始めます。

自身もポイント練習時は練習内容に対する余裕度を必ず記入しますが、1月はほぼすべて『普通』だったのに対し、2月に入ってからはほぼすべて『余裕なし』の記述になっています。


自身の亜鉛欠乏性貧血の原因
これはあくまでも推測ですが、レースの3~4ヶ月前から貧血を予防するために市販の鉄剤(マスチゲン)を毎日1錠のみ続けていました。これだけで1日必要量の鉄を摂取できているのですが、そこからさらに食事でも鉄を意識した食材を食べ、ドリンクも鉄を含んだものを多飲し、間食に鉄を多く含んだシリアルに鉄を多く含んだ牛乳をかけて食べるといった生活を続けていました。とにかく+Feと書かれた食べ物を必要以上に摂取し続けていたような気がします。

恐らく1日必要量の2~5倍くらい数ヶ月にわたり鉄を過剰に摂取し続けたことで亜鉛の吸収が阻害され、結果、亜鉛欠乏性貧血を発症したのではないかと考えています。

鉄剤の過剰摂取に関してはこちらの論文が大変参考になりました。


まとめ
市民ランナーは常日頃から早朝起床時心拍数をしっかり計測することが貧血の早期発見につながります。早朝起床時心拍数が2週間以上高い場合は気のせいではなく何かしら原因があるはずです。その際に鉄欠乏性貧血と自己判断し鉄剤(サプリメント)を服用すると亜鉛欠乏を助長します。貧血の原因は複数あり、場合によっては鉄分を摂取するだけでは回復しません。そして気が付いていないだけで陸上長距離・マラソンランナーには亜鉛欠乏性貧血によりパフォーマンスが低下している事があるのではないかと思います。

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大腿四頭筋・内側広筋にできたガングリオン【マラソン・ランニング障害】 

ガングリオン】聞きなれない言葉かもしれませんが体の様々な場所にできる腫瘤(しゅりゅう)で“しこり・こぶ・腫れ”として見つかります。袋の中にはゼリー状の物質が詰まっています。発生頻度が高いのは手首周りや足の甲にできるガングリオンですが全身の至る所に発生します。

20191221ganglion.jpg 

大きさも米粒大からピンポン玉大まで様々で、軟らかいものから硬いものまであります。浅い所にできたガングリオンは体表から確認できますが、深い所にできたガングリオンは体表からは確認できません。ほとんどが無症状ですが時にガングリオンが痛みの原因になる事があります。


症例1 右大腿部・内側広筋にできたガングリオン

40代・女性市民ランナー

1年程前に右大腿部遠位内側に痛みを感じ整形外科を受診しレントゲン撮影で異常なし経過観察となる。1週間ほど前から痛みが強くなり治療院を受診。(その間マラソンの練習は継続できていた)

症状:ランニング痛(-)・膝屈曲痛(-)・局所の圧痛(+)・椅子からの立ち上がり動作で痛み(+)・膝立ち痛(+)・内側広筋遠位部の突っ張り感(+)・他動的に膝を曲げた状態から伸ばしていく際に痛み(+)

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市民ランナーで上記の場所に痛みがあれば普通は内側広筋肉離れ・大腿四頭筋腱付着部症・関節水腫・大腿骨遠位疲労骨折・タナ障害などを考えますが、この方は走っていてもあまり痛みがなく、主訴は仕事中に椅子に座った状態から立ち上がる際の鋭い痛みです。最近は少し仕事にも支障をきたしています。


エコー検査
大腿四頭筋(内側広筋・遠位)にプローブを当てると7mmx12mm程の腫瘤を確認できます。(下図黒丸)内部が低エコーで境界明瞭で後方エコー増強がありドプラモードで炎症が確認できなかったのでおよそガングリオンと思われます。

関係者用メモ(ただし軟部腫瘤に絶対はありません、表在性で無痛性で境界明瞭な5cm未満の可動性がある腫瘤でも悪性の場合があります、ちなみに大腿四頭筋内に発生するガングリオンは膝蓋上嚢が由来の場合が多いようです)

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下の図(右足)のの内側広筋の中にガングリオンができています。
ganglion20191221-4.png 


エコー動画

こうして見るとガングリオンは最近観測されたブラックホールにそっくりです。ちなみにこのガングリオンは体表から1cm程度の所にできていますが、視診では全くわかりませんでした。

治療
多くのガングリオンは無症状の為、経過観察することが多いです。経過観察中に自然に消失することも多々あります。痛みがある場合などは注射針を刺して注射器で吸引し内容物を排出します。複数回の穿刺・吸引が必要な場合もあり、それでも再発を繰り返す場合は手術で袋ごと摘出します。

日本整形外科学会のホームページにも無理やりガングリオンを押しつぶす(袋から飛び出した内容物は自然に吸収される)という荒業治療が紹介されていますが、あくまでも腫瘤がガングリオンと確認されてからです。しこり・こぶ・腫れの原因になるものは他に数えきれないほどあります。


市民ランナーは常に走っているので痛みがあるとどうしても筋肉・腱・靭帯・骨などに異常があると思いがちですが全く違ったものが痛みの原因になっている事もあるのですね。

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中足骨疲労骨折~足の甲の痛み~【マラソン・ランニング障害】 

市民ランナーで足の甲に痛みを感じた場合、それはもしかしたら疲労骨折かもしれません。疲労骨折とは『健常な骨に、通常は骨折しない程度の負荷が繰り返し加わって生じる骨折』です。今回は主に中足骨(ちゅうそくこつ)の疲労骨折について記述します。


初期の疲労骨折では痛みがあっても意外と我慢して走れてしまうので要注意です。パキッと折れる骨折とは違い骨の内部構造が壊れるイメージです。赤部分に痛みが出現します。ランナーの場合は特に第2・3中足骨の中央が好発部位です。
 
第二中足骨疲労骨折20190824  

疲労骨折の部位別頻度

病院で疲労骨折と診断された2,886名の統計が下の表になります。1位の腰椎は腰椎分離症と呼ばれる疲労骨折でほとんどが10代の若年者に発症し、市民ランナーが発症することはほとんどありません。

1位腰椎48.9%
2位中足骨18.4%
3位脛骨15.3%
4位腓骨4.2%
5位足舟状骨2.7%

中足骨の疲労骨折全体で言うと第5中足骨が最も多いのですが、このほとんどがサッカー選手で、陸上選手に限定すれば第2・3中足骨、特に骨幹部中央(真ん中)が好発部位です。


原因

多くがオーバートレーニングやオーバーユース(使い過ぎ)です。筋肉疲労が蓄積すると地面からの着地衝撃を吸収できず、骨への負荷が増える事が実験で確認されています。しかし初心者の市民ランナーでも走り始めて1~2ヶ月で疲労骨折を発症することが結構あります。

トラックや土のグラウンドよりも固いアスファルトでの練習の方が疲労骨折のリスクが高まります。また底の薄い裸足感覚シューズも疲労骨折の原因になり得ます。

女性ランナーでは慢性的に骨密度が低下している事があり注意が必要です。ちなみに疲労骨折予防でカルシウムを摂取する事はあまり意味がないとされています。※カルシウム自体は重要な栄養素です

疲労骨折との明確な関係が医学的に証明されている栄養素がビタミンDです。血中ビタミンDが低下していると疲労骨折の発症リスクが高まります。逆にビタミンDの摂取で疲労骨折のリスクは低下します。ビタミンDは骨の代謝に重要な役割を果たしているのです。


中足骨疲労骨折の症状

腫れが確認できることは稀で、圧痛と運動時痛が主な症状です。初期の症状は軽度の痛みですが、起床時の歩き始めは痛みが強く、運動が不能になるほどの痛みは起こらないが、ランニングの継続により次第に痛みが増悪します。

靴ひもを強く結び過ぎて痛みが出ているだけだと勘違いされているランナーもちらほら見かけます。多くのランナーは足の甲が痛いと受診されます。


テスト法

・ホップテスト:痛みのある片足でジャンプを10回程度して痛みがあれば陽性。
・側方圧迫テスト:足の前足部を両側から手の平で圧迫して痛みがあれば陽性。


画像検査

レントゲンでは初期の疲労骨折は確認できない事が多々あります。レントゲンでは骨が修復される過程でできる仮骨(かこつ)で疲労骨折を診断しますが、この仮骨が形成されるまでに2~4週間かかります。
第二中足骨疲労骨折20190824-b  

第二中足骨疲労骨折20190824-5 

超音波エコー検査では初期の疲労骨折でも確認できます。骨皮質の膨隆や不整(骨がポコッと盛り上がったり凸凹する)や、骨の上の軟部組織の腫脹が疲労骨折の所見です。

正常な第2中足骨
中足骨疲労骨折・足の甲の痛み 

第2中足骨の疲労骨折
中足骨疲労骨折・エコー超音波検査 

第2中足骨疲労骨折のエコー動画
赤い点滅は炎症を表しています。骨が壊れるとそこを修復するために周囲から新しい血管が伸びてきます。つまり赤い点滅は『現在工事中』のサインです。
※プローブを動かす際の赤い点滅は関係ありません。



別の症例ですが掃除機を足の甲に落とし、通常の中足骨骨折をした市民ランナーのエコー画像です。

足の甲がパンパンに腫れ・圧痛が強いものの病院で2回レントゲンを撮りましたが異常なしと言われたようです。レントゲンでは異常が確認できなくても症状が強ければ基本骨折しているものとして対処することも大切です。
第2中足骨骨折20190705 (1) 

第2中足骨骨折20190705 (2) 


治療

一般的な中足骨骨幹部の疲労骨折であればランニングの中止のみで十分で、ギプス固定は必要ありません。4~6週間の安静後、ジョギングから開始します。

しかし安静にすると10日前後で日常生活での支障はなくなります。そうなると『4週間は安静を指示されたけれど、意外と痛みもないし、自分の場合は走っても大丈夫だろう!』と変な自信とともに走り出すと再度痛みが増悪するので注意が必要です。疲労骨折の部位によっては非常に治りにくい場合もあります(第5中足骨・舟状骨)ので自己判断には注意してください。

低出力超音波パルス・LIPUS(ライプス)と呼ばれる超音波を患部に週5回程度、1回20分照射すると骨折治癒期間が40%短縮されたりもします。LIPUS機能のある超音波治療器を設置している治療院を探してください。


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蜂窩織炎・腫れ・熱感・発赤【マラソン・ランニング障害】 

 マラソン・ランニングをしていて怪我をした際に組織が腫れる事がありますよね。しかし腫れの中には注意しなければいけない腫れがあります。それが熱感(触ると熱がある)や発赤(皮膚が赤い)を伴った腫れです。この場合、筋肉や腱、靭帯など運動器の障害ではなく、感染症の可能性もあります。

市民ランナーであれば靴擦れをおこしたり、トレイルランナーであれば転倒して脚に傷がある方もいるのではないでしょうか。その小さな傷からばい菌が侵入して増殖すると蜂窩織炎(ほうかしきえん)を発症します。特にフルマラソン等を走った後の1週間は免疫力が低下しているので要注意です。

蜂窩織炎とは黄色ブドウ球菌(おうしょくぶどうきゅうきん)や溶連菌(ようれんきん)と呼ばれる常在菌(普通に皮膚に存在している菌)が免疫力が低下したのをきっかけに皮膚の小さな傷から侵入し増殖する感染症です。

体は表面から表皮→真皮→皮下組織→筋肉→骨という構造ですが、蜂窩織炎はこの中の真皮から皮下組織(主に脂肪組織)に起こる感染症です。
蜂窩織炎20181214 


【症例1】
自身と一緒に亀岡ハーフマラソンに参加した30代男性市民ランナーKさん。2018年12月9日に亀岡ハーフを完走。その後12月13日頃に右膝のお皿の下あたりに痛みと腫れを自覚。ちなみに1週間前に受診した際は膝の不調はありませんでした。今回受診時の写真を下に表示します。
蜂窩織炎20181218 

確かに右膝のお皿の下が腫れています。触ると痛みがあり少しブヨブヨしています。レース後の膝の痛みなので普通に考えると『膝蓋腱炎・関節水腫・膝蓋前皮下包炎・膝蓋下脂肪体炎など』が頭に浮かびますが、よく観察すると少し発赤(ほっせき)を認めます。先ほど列記した障害では腫れはあっても発赤はありません。

さらによく観察すると膝の前に小さな傷があります。この方はお仕事で膝を突くことが多いとの事です。しかもレース後なので免疫力も低下していると考えられます。
蜂窩織炎20181218b 


エコーで膝蓋骨の下を観察すると通常は下図のように描出されます。(これは正常像です)
蜂窩織炎・腫れ・発赤・熱感 

Kさんの膝をエコーのドプラと呼ばれる炎症を表示する機能を使って観察すると、皮下組織(脂肪組織)に赤い炎症反応が多数確認できました。
蜂窩織炎・腫れ・発赤・熱感 

その為、蜂窩織炎を疑い皮膚科の受診をすすめて抗生物質の処方を受けられました。

下の動画は初診時からの経過をまとめたものです。


まぁ滅多に起こるものではありませんが、腫れは腫れでも『熱感と発赤を伴った腫れは要注意!』ということです。あとレース後1~2週間は自覚はなくても免疫力が低下しているので体調管理には気を付けて下さい。数年前、自身も萩往還140kmを雨と風の中で完走し、その3週間後に帯状疱疹を発症した経験があります。
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シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)のエコー画像・動画 

 初級者市民ランナーが走り始めたり、中上級者市民ランナーが急に練習量を増やしたり、インターバルやウィンドスプリントなどのダッシュ動作を繰り返すと下の赤色部分に痛みが出る事があります。俗にいうシンスプリントです。

しかしシンスプリントに関する記事は無数に存在するため、説明は省略して、エコー(超音波)検査ではどのように描出されるのかを中心に解説します。


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下腿部の断面とシンスプリントの好発部位

下の図は下腿部の断面です。一般的にシンスプリントは脛骨の下1/3の内側後方に好発します。正面ではないので少し触れにくい場所です。ちなみに脛骨(けいこつ)の前面には筋肉がなく、皮下脂肪の直下に骨があるため打撲などするとすごく痛いので『弁慶の泣き所』と言われますね。
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シンスプリントのエコー画像検査

下図のの部分からプローブを当てます。一般的に疲労骨折の場合は①から確認しますが、シンスプリントの場合は②から確認します。
shinsplints20180520b.jpg 

①からエコー画像を見ると皮下のすぐ下に脛骨が確認できます。
※左イラストは輪切りですがエコー画面は縦切りで左が頭側・右が足先側です
京都市・シンスプリント・脛骨過労性骨膜炎・整骨院・接骨院・病院・治療 

②からエコー画像を見ると脛骨の前に筋肉があるためやや骨は不鮮明になります。
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シンスプリントのエコー動画検査

エコーにはドプラ機能と呼ばれるものがあります。これは炎症が起こっているとその部分が赤く点滅するという機能です。プローブを移動する際には多少赤い点滅がみられたり、正常な血管も多少描出されますが、主に炎症で新たに作られた異常な血管を描出します。



動画の解説

一般的に組織が壊れるとそこを修復するために周囲の血管から新しい血管(髪の毛よりも細い)がニョキニョキ集まってきます。道路が陥没して壊れてしまうと砂利やセメントを積んだトラックが沢山集まってくる工事のイメージです。

小さな陥没であれば小規模な工事で終わるので1週間くらいで終了します。しかし工事中にもかかわらずさらに大きな災害が発生すると陥没が大きくなり工期が1ヶ月くらいの中規模工事が必要になります。そこで運悪くさらに災害が発生すると工期が3~6ヶ月を要する大規模工事が必要になります。

この炎症の像で今どのくらいの工事が体の中で行われているのかが分かります。ちなみに上の動画は中~大規模の工事で、スポーツ中だけではなく、日常生活での歩行でも痛みがある方です。(1ヶ月くらい前から痛みを感じ始めるも無理に練習を継続していた)

つまりシンスプリントを発症した際には体の中ではそこを修復するために工事が行われています。それを自然治癒力と言いますが、その自然治癒力を邪魔しないようにする事が一番大切です。炎症が起こっているのにマッサージなどをおこなうと確実に悪化します。

小規模な工事の段階であれば休まずに練習量の調整で治す事も可能です。しかし大規模な工事が開始されると練習を中止したとしても工事が終わるのに数ヶ月を要します。ただ軽度の痛みで練習を中止できないのが市民ランナーですよね。自分も『走っていればその内治るっショ』と楽観的なランナーです。


血管と神経の関係

上の動画で血管の増殖が確認されましたが、血管には必ず神経線維も伴走しています。つまり炎症により異常な血管が増殖すると神経線維も増えるために痛みに対して過敏な状態になります。それが圧痛(押すと痛い)です。ただシンスプリントの場所はやや深いところにある場合もあるため圧痛が不鮮明な場合もあります。




シンスプリントと疲労骨折の関係~少し難しいので興味がなければ読み飛ばしてください~

シンスプリントと疲労骨折は全く別物だとする意見と、シンスプリントがさらに悪化して疲労骨折になるとする意見と未だ結論が得られていません。しかし最近の高分解能MRIでの観察からシンスプリントと疲労骨折は関係があるとする意見が強くなっています。

骨の周りには骨膜(こつまく)と呼ばれる薄い膜があり、骨膜の下に皮質骨(ひしつこつ)があります。そして中央は空洞になっており骨髄(こつずい)と呼ばれます。
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ランニングやジャンプ動作で脛骨にストレスがかかり続けると最初に骨膜の炎症・肥厚が起こります。更にストレスがかかり続けると骨髄に出血・浮腫が起こります。更にストレスがかかると骨皮質に異常像・亀裂が起こります。

(皮質骨)に異常が現れるのは一番最後でまずは骨膜や中の骨髄に異常が現れます。①・②の段階ではMRIでは発見できますが、レントゲンでは異常は見つかりません。ちなみに骨膜は知覚神経と血管が豊富で意外と痛みの原因になります。

一般的にの段階ではシンスプリント の段階では疲労骨折 の段階では骨髄を輪切りにしたMRI画像で異常が一部にとどまっている場合はシンスプリント、異常が骨髄の全体や広範囲に広がっている場合は疲労骨折と判断されます。

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西院かんな整骨院
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