母趾種子骨障害・分裂種子骨【マラソン・ランニング障害】
2014年05月25日 (日)
ランニングで母趾(親指)の付け根、裏側の痛みを感じた場合、それは母趾種子骨障害(ぼししゅしこつしょうがい)かもしれません。※分裂種子骨・種子骨炎
種子骨とは
下の図で黄色○の部分を押すと圧痛があります。母趾のMTP関節には通常2つの種子骨があります。内側種子骨と外側種子骨です。この種子骨が繰り返される衝撃で疲労骨折を起こしたり、炎症(しゅしこつえん)を起こしたりすることで痛みが出現します。ちなみに膝にある膝蓋骨(お皿の骨)は人体で一番大きな種子骨です。
下の図では内側種子骨と外側種子骨の間を長母趾屈筋腱(ちょうぼしくっきんけん)が通過しています。種子骨は軟骨面をもっていて、中足骨の軟骨面と接している事がわかります。繰り返し母趾球部での着地衝撃が蓄積すると、種子骨が疲労骨折や炎症を起こしたりします。
画像所見・レントゲン
レントゲン写真では二つに分裂した種子骨が確認できる場合があります。
しかしながら先天的に種子骨が分裂している二分種子骨(分裂種子骨)の統計があります。
内側:12% 外側:3% 合計15%
意外と多く、その場合、種子骨が分裂していても痛みがない場合がほとんどです。なお種子骨障害のほとんどが内側種子骨に起こります。
画像所見・超音波エコー
では!自分の種子骨をエコーで確認してみます。
まずは短軸像。青い棒がプローブの当て方です。
左足(健側)
右足(患側)
左足と右足
右足の内側種子骨が完全に分裂しています。
次は長軸像。青い棒がプローブの当て方です。
左足(健側)
右足(患側)
やっぱり右足の内側種子骨が完全に分裂していますね。でも無症状ですので。
症状がある方は下図のように母趾のMTP関節が腫脹します。
レントゲンで異常がなくても圧痛が種子骨に限局している場合は種子骨炎も考えられます。ただし安易に判断せず、まずは中足骨の疲労骨折にも注意が必要です。あと酒飲みランナーはただの痛風かもしれません。痛風発作の好発部位も母趾のMTP関節です。その他・外反母趾、強剛母趾、骨軟部腫瘍なども鑑別疾患です。
痛みが“ある”場合と“ない”場合の違い
分裂種子骨があっても痛みがある人もいれば、ない人もいます。その違いは炎症が起きているかどうかです。一般的に組織が破壊されると修復するために、周りから血管が集まってきます。そして血管から修復に必要な材料などが放出されます。その際には痛みの原因となる発痛物質も放出されるので痛みを感じます。そして修復が終わるとそれらの血管は自然に消失します。つまり種子骨が分裂していてそこを治そうと工事中であれば痛みがあります。また分裂していても工事が既に終了していれば痛みはありません。
エコー検査ではドプラー機能を使って炎症が起きているか(工事中かどうか)を確認できます。□の枠内に赤や青の点があれば炎症が起きています。下の動画では前半は分裂種子骨で既に炎症が終わっている動画、後半は分裂種子骨で現在まだ炎症が起こっている動画です。
ごく稀に種子骨の低形成もみられます。この場合、一方の種子骨が小さいため、他方の種子骨に負担が集中します。
種子骨障害はランニングなどの繰り返しの衝撃やクラシックバレー、また、一回の衝撃で骨折してしまう事もあります。特に凹足(ハイアーチ)の方に多いようです。
治療・対策
治療は痛みが強い場合は走るのを止めて安静を取らざるを得ません。日常生活では種子骨サポーターや種子骨パッド。その他インソールの交換です。
しかし個人的には高いオーダーメイドのインソールを購入するよりもナイキのアルファフライやテンポネクスト、またはヴェイパーnext%などの厚底シューズを購入する方が効果があるのではないかと思います。正直インソールで痛みが軽減した人を見たことがありません。
それよりもエアポッドを搭載したアルファフライやテンポネクストはまさに母趾の種子骨障害ランナーの為のシューズと言っても過言ではありません。自身もポイント練習ではヴェイパーnext%を履きます。踵の厚みが注目されますが、他のシューズに比べて前足部の地面からの衝撃もかなり吸収されているのが実感できます。またカーボンプレートが入っているために前足部が屈曲せずに無駄に母趾で蹴る動きがなくなります。
ちなみに自分のシューズの裏を見てみると。。。右が分裂種子骨。

毎度毎度、右の母趾球部ばっかり減るんです。なので左はまだまだ履けるのにもったいない。原因は右の股関節は外旋気味で、右足首は着地の際にオーバープロネーションしている為です。
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西院かんな整骨院
京都市|中京区|右京区|下京区|
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種子骨とは
下の図で黄色○の部分を押すと圧痛があります。母趾のMTP関節には通常2つの種子骨があります。内側種子骨と外側種子骨です。この種子骨が繰り返される衝撃で疲労骨折を起こしたり、炎症(しゅしこつえん)を起こしたりすることで痛みが出現します。ちなみに膝にある膝蓋骨(お皿の骨)は人体で一番大きな種子骨です。



下の図では内側種子骨と外側種子骨の間を長母趾屈筋腱(ちょうぼしくっきんけん)が通過しています。種子骨は軟骨面をもっていて、中足骨の軟骨面と接している事がわかります。繰り返し母趾球部での着地衝撃が蓄積すると、種子骨が疲労骨折や炎症を起こしたりします。



画像所見・レントゲン
レントゲン写真では二つに分裂した種子骨が確認できる場合があります。

しかしながら先天的に種子骨が分裂している二分種子骨(分裂種子骨)の統計があります。
内側:12% 外側:3% 合計15%
意外と多く、その場合、種子骨が分裂していても痛みがない場合がほとんどです。なお種子骨障害のほとんどが内側種子骨に起こります。
画像所見・超音波エコー
では!自分の種子骨をエコーで確認してみます。
まずは短軸像。青い棒がプローブの当て方です。

左足(健側)

右足(患側)

左足と右足

右足の内側種子骨が完全に分裂しています。
次は長軸像。青い棒がプローブの当て方です。

左足(健側)

右足(患側)

やっぱり右足の内側種子骨が完全に分裂していますね。でも無症状ですので。
症状がある方は下図のように母趾のMTP関節が腫脹します。

レントゲンで異常がなくても圧痛が種子骨に限局している場合は種子骨炎も考えられます。ただし安易に判断せず、まずは中足骨の疲労骨折にも注意が必要です。あと酒飲みランナーはただの痛風かもしれません。痛風発作の好発部位も母趾のMTP関節です。その他・外反母趾、強剛母趾、骨軟部腫瘍なども鑑別疾患です。
痛みが“ある”場合と“ない”場合の違い
分裂種子骨があっても痛みがある人もいれば、ない人もいます。その違いは炎症が起きているかどうかです。一般的に組織が破壊されると修復するために、周りから血管が集まってきます。そして血管から修復に必要な材料などが放出されます。その際には痛みの原因となる発痛物質も放出されるので痛みを感じます。そして修復が終わるとそれらの血管は自然に消失します。つまり種子骨が分裂していてそこを治そうと工事中であれば痛みがあります。また分裂していても工事が既に終了していれば痛みはありません。
エコー検査ではドプラー機能を使って炎症が起きているか(工事中かどうか)を確認できます。□の枠内に赤や青の点があれば炎症が起きています。下の動画では前半は分裂種子骨で既に炎症が終わっている動画、後半は分裂種子骨で現在まだ炎症が起こっている動画です。
ごく稀に種子骨の低形成もみられます。この場合、一方の種子骨が小さいため、他方の種子骨に負担が集中します。

種子骨障害はランニングなどの繰り返しの衝撃やクラシックバレー、また、一回の衝撃で骨折してしまう事もあります。特に凹足(ハイアーチ)の方に多いようです。

治療・対策
治療は痛みが強い場合は走るのを止めて安静を取らざるを得ません。日常生活では種子骨サポーターや種子骨パッド。その他インソールの交換です。
しかし個人的には高いオーダーメイドのインソールを購入するよりもナイキのアルファフライやテンポネクスト、またはヴェイパーnext%などの厚底シューズを購入する方が効果があるのではないかと思います。正直インソールで痛みが軽減した人を見たことがありません。
それよりもエアポッドを搭載したアルファフライやテンポネクストはまさに母趾の種子骨障害ランナーの為のシューズと言っても過言ではありません。自身もポイント練習ではヴェイパーnext%を履きます。踵の厚みが注目されますが、他のシューズに比べて前足部の地面からの衝撃もかなり吸収されているのが実感できます。またカーボンプレートが入っているために前足部が屈曲せずに無駄に母趾で蹴る動きがなくなります。


ちなみに自分のシューズの裏を見てみると。。。右が分裂種子骨。


毎度毎度、右の母趾球部ばっかり減るんです。なので左はまだまだ履けるのにもったいない。原因は右の股関節は外旋気味で、右足首は着地の際にオーバープロネーションしている為です。
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