踵骨疲労骨折【マラソン・ランニング障害】
2014年12月05日 (金)
踵骨(しょうこつ)の疲労骨折などはトップアスリートだけの問題ではなく、最近は市民ランナーでも見られるようになりました。原因の一つはマラソンブームです。もう一つは裸足系シューズでしょうか。決して裸足系シューズが悪いと言っている訳ではありません。※踵(かかと)
しかし裸足系シューズは本来、前足部着地や中足部着地を獲得する目的でトレーニングに取り入れていると思うのですが、裸足系シューズを履いているにも関わらず踵着地でランニングを続けると疲労骨折を起こします。つまり裸足系シューズを履きこなせていない。
骨は常に壊される⇔作られるを繰り返していますが、小さな衝撃が繰り返し加わる事で作られるよりも壊される骨が多くなり疲労骨折を起こします。着地した際の衝撃は下の図のように前足部と踵骨へ分散されます。なので疲労骨折は脛骨・中足骨・舟状骨・踵骨でランナーによく見られます。
高い所から飛び降りて起こる完全骨折と違い、ひどい腫れや歩行不能にまでなる事は稀です。走っていると少し踵に痛みを感じる程度から始まり、数週間走り続けることで徐々に痛みが悪化します。しかし意外と普通に歩けたり、腫れも踵周囲にわずかに確認できるだけだったりします。
踵の疲労骨折は痛みが出てからレントゲンに異常な像が出現するまでに2~4週間かかります。MRIを撮影すれば初期の疲労骨折もわかりますが、身体所見で疲労骨折を疑えば疲労骨折しているものとして治療を開始するのが理想です。治療と言ってもまずは安静第一です。さすがに疲労骨折は走りながら治せるものではありません。
踵骨の疲労骨折を疑わせるもの
1.裸足系シューズやスパイクを履いて硬いサーフェイスの上を走る事が多い
2.内果(内くるぶし)と外果(外くるぶし)の周囲に腫れがある
3.内果(ないか)と外果(がいか)の後下方の両側に痛みがある
4.踵骨の内側壁を押すと痛い・踵骨の外側壁を押すと痛い
5.踵骨の内側壁と外側壁を同時に押したり圧迫するとさらに痛みが強くなる
6.踵骨を下から叩打すると痛みがある
7.アキレス腱の付着部に痛みがある
ただし踵骨の疲労骨折以外にも踵周囲では、足底腱膜炎や踵脂肪体損傷や腓骨筋腱損傷やアキレス腱付着部症等々いくつか鑑別すべき疾患があります。しかし上記の1~6が全て当てはまれば踵骨疲労骨折の可能性はかなり高いと思います。7はない場合もあります。
圧痛部位
足底腱膜 踵脂肪体 腓骨筋腱
治療
疲労骨折の治療の第一は安静です。ランナー心理からすると練習ができない事にストレスを感じてしまいます。ただ筋肉や腱など軟部組織の損傷と違い、安静にすれば確実に治ります。なので実際は疲労骨折に気が付かずにしばらく安静にしていたらかかとの痛みが無くなったランナーもいる事でしょう。踵への負荷を軽減する為にヒールパッドを使ったりもします。

治癒期間には4~8週間とやや幅があります。当然痛みが出たので直ぐに走るのを止めたランナーと痛みを我慢して走り続け、さすがに走れなくなったランナーとでは治癒期間が異なります。その間は下腿三頭筋(ふくらはぎ)や足底腱膜の柔軟性をしっかり獲得しましょう。これらが硬いのも踵骨疲労骨折の原因の1つです。
画像所見 レントゲン・MRI
レントゲンでの骨形成や骨硬化像は骨が修復される過程でみられるため、発症から2~4週後に出現します。なので受傷直後にレントゲンで疲労骨折を発見するのは難しいです。MRIは早期の疲労骨折も発見可能です。しかし詳細な問診と身体所見からおおよそ踵骨の疲労骨折は判断できます。
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西院かんな整骨院
京都市|中京区|右京区|下京区|
【ランナー専門外来】マラソン・ランニング・ジョギング障害治療
しかし裸足系シューズは本来、前足部着地や中足部着地を獲得する目的でトレーニングに取り入れていると思うのですが、裸足系シューズを履いているにも関わらず踵着地でランニングを続けると疲労骨折を起こします。つまり裸足系シューズを履きこなせていない。



骨は常に壊される⇔作られるを繰り返していますが、小さな衝撃が繰り返し加わる事で作られるよりも壊される骨が多くなり疲労骨折を起こします。着地した際の衝撃は下の図のように前足部と踵骨へ分散されます。なので疲労骨折は脛骨・中足骨・舟状骨・踵骨でランナーによく見られます。

高い所から飛び降りて起こる完全骨折と違い、ひどい腫れや歩行不能にまでなる事は稀です。走っていると少し踵に痛みを感じる程度から始まり、数週間走り続けることで徐々に痛みが悪化します。しかし意外と普通に歩けたり、腫れも踵周囲にわずかに確認できるだけだったりします。
踵の疲労骨折は痛みが出てからレントゲンに異常な像が出現するまでに2~4週間かかります。MRIを撮影すれば初期の疲労骨折もわかりますが、身体所見で疲労骨折を疑えば疲労骨折しているものとして治療を開始するのが理想です。治療と言ってもまずは安静第一です。さすがに疲労骨折は走りながら治せるものではありません。
踵骨の疲労骨折を疑わせるもの
1.裸足系シューズやスパイクを履いて硬いサーフェイスの上を走る事が多い
2.内果(内くるぶし)と外果(外くるぶし)の周囲に腫れがある
3.内果(ないか)と外果(がいか)の後下方の両側に痛みがある
4.踵骨の内側壁を押すと痛い・踵骨の外側壁を押すと痛い
5.踵骨の内側壁と外側壁を同時に押したり圧迫するとさらに痛みが強くなる
6.踵骨を下から叩打すると痛みがある
7.アキレス腱の付着部に痛みがある
ただし踵骨の疲労骨折以外にも踵周囲では、足底腱膜炎や踵脂肪体損傷や腓骨筋腱損傷やアキレス腱付着部症等々いくつか鑑別すべき疾患があります。しかし上記の1~6が全て当てはまれば踵骨疲労骨折の可能性はかなり高いと思います。7はない場合もあります。
圧痛部位


足底腱膜 踵脂肪体 腓骨筋腱



治療
疲労骨折の治療の第一は安静です。ランナー心理からすると練習ができない事にストレスを感じてしまいます。ただ筋肉や腱など軟部組織の損傷と違い、安静にすれば確実に治ります。なので実際は疲労骨折に気が付かずにしばらく安静にしていたらかかとの痛みが無くなったランナーもいる事でしょう。踵への負荷を軽減する為にヒールパッドを使ったりもします。

治癒期間には4~8週間とやや幅があります。当然痛みが出たので直ぐに走るのを止めたランナーと痛みを我慢して走り続け、さすがに走れなくなったランナーとでは治癒期間が異なります。その間は下腿三頭筋(ふくらはぎ)や足底腱膜の柔軟性をしっかり獲得しましょう。これらが硬いのも踵骨疲労骨折の原因の1つです。
画像所見 レントゲン・MRI


レントゲンでの骨形成や骨硬化像は骨が修復される過程でみられるため、発症から2~4週後に出現します。なので受傷直後にレントゲンで疲労骨折を発見するのは難しいです。MRIは早期の疲労骨折も発見可能です。しかし詳細な問診と身体所見からおおよそ踵骨の疲労骨折は判断できます。
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