後脛骨筋腱炎(内くるぶしの痛み)~ランニング障害~
2015年07月20日 (月)
マラソンやランニングで内くるぶしの周辺、特に下図○の後側や下側に痛みを感じたら、それは後脛骨筋腱炎(こうけいこつきんけんえん)かもしれません。以前足首全般の腱鞘炎について書いたのですが、今回は内側に限定して話を進めていきます。
※内くるぶし=内果(ないか)
内くるぶしの後ろや下には後脛骨筋(こうけいこつきん)・長趾屈筋(ちょうしくっきん)・長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)が走行しています。その中で一番内果に近い場所を走行しているのが後脛骨筋です。内果周辺では腱の走行が急に変わるので摩擦が起こりやすく、腱は腱鞘と呼ばれるトンネルの中を通過します。そして腱が浮き上がってこないように屈筋支帯(くっきんしたい)と呼ばれるバンドで上から抑えられています。不良なランニングフォームやオーバーユースで繰り返しストレスがかかり続けるとこの部分で腱炎や腱鞘炎を発症します。
後脛骨筋腱炎の症状と特徴
・内くるぶしの周囲に痛みがある
・内くるぶしの周囲が腫れている
・内くるぶしの後ろや下に圧痛が強い
・ランニングした翌日の朝に痛みが強い
・膝と足首を曲げるように体重をかけると痛い
初期では走れない程の痛みではありませんが、我慢して走り続けていると徐々に痛みが日毎に強くなってきて、ついには走れないどころか歩く際にも痛みが出現します。強い痛みを訴えるランナーの話を聞くとずっと以前から内くるぶしに違和感を感じていたという方がほとんどです。
原因と身体的特徴
・走行距離の急激な増加
・不整地でのランニング
・脚筋力不足
・偏平足
・下腿の弯曲が強い
・着地時のオーバープロネーション
生まれつきの偏平足はさて置き、大人になってからの偏平足の原因として後脛骨筋機能不全があります。後脛骨筋は内側の縦のアーチ(土踏まず)の保持に大きく関わっています。その筋肉が損傷などにより上手く機能しなくなる事で次第にアーチが消失し偏平足になります。
ですから偏平足だから後脛骨筋腱炎になる場合もあれば、後脛骨筋機能不全があるから偏平足になる場合もあるという事です。
後脛骨筋腱機能不全のテスト法
Single heel raise test:片足でつま先立ちができない、もしくは痛い場合は陽性 (動画)
too many toes sign:直立位で後方から足を見ると踵骨の回内(踵外反)により足の趾が健側に比べて沢山見える場合は陽性
自分でできる対策
・単純な走り過ぎの場合には安静が必要
・道路では傾斜があるのでなるべく真ん中を走る
・なるべくプロネーションしないシューズに変更
・踵のホールド感がしっかりしたシューズに変更
・足関節周囲筋のトレーニングを行う
・着地時に土踏まずがつぶれないようにインソールを作成する
片脚立ちで5~10回スクワットをしてください。その際は健側・患側両方で確認します。少しでもふらつきがあれば足関節周囲筋の筋力が弱いサインです。チューブを使った後脛骨筋や腓骨筋、またカーフレイズなどでの下腿三頭筋のトレーニングをして足関節周囲筋をしっかりと鍛えましょう。
トレーニングは長期に及ぶのを理解して始めてください。短期ですぐに結果は現れません。
片脚立ちでスクワットした際にふらついたり、痛みがある場合、土踏まずの部分にタオルなどを挟んだ状態でもう一度スクワットをしてください。その際にふらつきや痛みが消失した場合は、土踏まずを持ち上げるインソールの効果が比較的出やすいタイプです。
ただしインソール単独では多くの場合痛みは改善しません。運動療法との併用で初めて効果が現れますので、地道なトレーニングが必要です。
シューズについてチェックする事
一度シューズを確認しましょう、特にオーバープロネーション気味のランナーはその癖がシューズに現れやすく、その癖のついたシューズで走る事で更に症状が悪化します。自身のシューズを机の上に置いて後ろから確認するとよくわかります。タグなどが付いているとそれが傾いていたりします。
エコー画像
超音波エコー検査では腱の腫大や炎症反応が確認できます。下のエコー画像は内くるぶしの後ろを通る後脛骨筋腱を輪切りにした画像です。
下のエコー画像は同一人物の健側と患側を並べています。患側の後脛骨筋腱が大きく腫大しているのが確認できます。腱は繰り返し損傷を受けると腫れて太くなってしまいます。
下の図はドプラー機能と呼ばれるもので□の中の炎症を確認できます。赤や青の点は正常な組織では見られませんが炎症が起こっていると見られます。下の動画は正常像→異常像→正常像→異常像の順番です。すべて同一人物の健側と患側の後脛骨筋腱です。患側の後脛骨筋腱は肥大し、周囲に赤や青の炎症反応が確認できます。
下図は別のランナーの後脛骨筋腱鞘炎の経過観察です。
8月24日・9月6日・9月15日の3回観察しています。9月6日は痛みを我慢しながらランニングを継続したため悪化。9月15日は完全休息を徹底したため炎症が沈静化しています。
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西院かんな整骨院
京都市|中京区|右京区|下京区|
マラソン・ランニング・ジョギング障害!

内くるぶしの後ろや下には後脛骨筋(こうけいこつきん)・長趾屈筋(ちょうしくっきん)・長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)が走行しています。その中で一番内果に近い場所を走行しているのが後脛骨筋です。内果周辺では腱の走行が急に変わるので摩擦が起こりやすく、腱は腱鞘と呼ばれるトンネルの中を通過します。そして腱が浮き上がってこないように屈筋支帯(くっきんしたい)と呼ばれるバンドで上から抑えられています。不良なランニングフォームやオーバーユースで繰り返しストレスがかかり続けるとこの部分で腱炎や腱鞘炎を発症します。

後脛骨筋腱炎の症状と特徴
・内くるぶしの周囲に痛みがある
・内くるぶしの周囲が腫れている
・内くるぶしの後ろや下に圧痛が強い
・ランニングした翌日の朝に痛みが強い
・膝と足首を曲げるように体重をかけると痛い
初期では走れない程の痛みではありませんが、我慢して走り続けていると徐々に痛みが日毎に強くなってきて、ついには走れないどころか歩く際にも痛みが出現します。強い痛みを訴えるランナーの話を聞くとずっと以前から内くるぶしに違和感を感じていたという方がほとんどです。
原因と身体的特徴
・走行距離の急激な増加
・不整地でのランニング
・脚筋力不足
・偏平足
・下腿の弯曲が強い
・着地時のオーバープロネーション

生まれつきの偏平足はさて置き、大人になってからの偏平足の原因として後脛骨筋機能不全があります。後脛骨筋は内側の縦のアーチ(土踏まず)の保持に大きく関わっています。その筋肉が損傷などにより上手く機能しなくなる事で次第にアーチが消失し偏平足になります。
ですから偏平足だから後脛骨筋腱炎になる場合もあれば、後脛骨筋機能不全があるから偏平足になる場合もあるという事です。
後脛骨筋腱機能不全のテスト法
Single heel raise test:片足でつま先立ちができない、もしくは痛い場合は陽性 (動画)
too many toes sign:直立位で後方から足を見ると踵骨の回内(踵外反)により足の趾が健側に比べて沢山見える場合は陽性

自分でできる対策
・単純な走り過ぎの場合には安静が必要
・道路では傾斜があるのでなるべく真ん中を走る
・なるべくプロネーションしないシューズに変更
・踵のホールド感がしっかりしたシューズに変更
・足関節周囲筋のトレーニングを行う
・着地時に土踏まずがつぶれないようにインソールを作成する
片脚立ちで5~10回スクワットをしてください。その際は健側・患側両方で確認します。少しでもふらつきがあれば足関節周囲筋の筋力が弱いサインです。チューブを使った後脛骨筋や腓骨筋、またカーフレイズなどでの下腿三頭筋のトレーニングをして足関節周囲筋をしっかりと鍛えましょう。
トレーニングは長期に及ぶのを理解して始めてください。短期ですぐに結果は現れません。
片脚立ちでスクワットした際にふらついたり、痛みがある場合、土踏まずの部分にタオルなどを挟んだ状態でもう一度スクワットをしてください。その際にふらつきや痛みが消失した場合は、土踏まずを持ち上げるインソールの効果が比較的出やすいタイプです。
ただしインソール単独では多くの場合痛みは改善しません。運動療法との併用で初めて効果が現れますので、地道なトレーニングが必要です。
シューズについてチェックする事
一度シューズを確認しましょう、特にオーバープロネーション気味のランナーはその癖がシューズに現れやすく、その癖のついたシューズで走る事で更に症状が悪化します。自身のシューズを机の上に置いて後ろから確認するとよくわかります。タグなどが付いているとそれが傾いていたりします。

エコー画像
超音波エコー検査では腱の腫大や炎症反応が確認できます。下のエコー画像は内くるぶしの後ろを通る後脛骨筋腱を輪切りにした画像です。

下のエコー画像は同一人物の健側と患側を並べています。患側の後脛骨筋腱が大きく腫大しているのが確認できます。腱は繰り返し損傷を受けると腫れて太くなってしまいます。


下の図はドプラー機能と呼ばれるもので□の中の炎症を確認できます。赤や青の点は正常な組織では見られませんが炎症が起こっていると見られます。下の動画は正常像→異常像→正常像→異常像の順番です。すべて同一人物の健側と患側の後脛骨筋腱です。患側の後脛骨筋腱は肥大し、周囲に赤や青の炎症反応が確認できます。
下図は別のランナーの後脛骨筋腱鞘炎の経過観察です。
8月24日・9月6日・9月15日の3回観察しています。9月6日は痛みを我慢しながらランニングを継続したため悪化。9月15日は完全休息を徹底したため炎症が沈静化しています。
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