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前下脛腓靭帯損傷・足首の捻挫【マラソン・ランニング障害】 

一般的に足首を捻挫すると、①前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)と呼ばれる靭帯を損傷・断裂します。しかし稀に『ただ捻挫しただけなのに中々治らない』場合、②前下脛腓靭帯(ぜんかけいひじんたい)と呼ばれる靭帯を損傷・断裂しているかもしれません。前下脛腓靭帯損傷では骨折を合併している事も多いので注意が必要です。

一般的な捻挫・前距腓靭帯損傷は
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※鑑別として、二分靭帯損傷、腓骨筋腱損傷・脱臼・腱鞘炎、踵骨前方突起骨折、距骨外側突起骨折、足根洞症候群、距骨骨軟骨損傷、衝突性外骨腫etc.があるので、安易な素人判断は危険です。

足首には脛骨(けいこつ)腓骨(ひこつ)と呼ばれる2つの骨がありますが、それらを結合しているのが脛腓靭帯です。脛腓靭帯は前にも後ろにもありますが、一般的に損傷するのは前下脛腓靭帯(以後は脛腓靭帯)です。

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痛みの出る場所

指で押した時の圧痛は前距腓靭帯の損傷では外くるぶしの前下方の赤丸にありますが、脛腓靭帯の損傷では外くるぶしの前上方の青丸にあります。脛腓靭帯の損傷は前距腓靭帯の損傷よりも疼痛が出やすい部位として知られています。
※靭帯結合(syndesmosis)は疼痛の出やすい部分。

脛腓靭帯の深層は豊富な脂肪組織があり、大きな血管が走っており、脂肪組織に分布する侵害受容器やこれらの血管および伴走している神経が傷つき、痛みが出ると考えられています。
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痛みの出る動きと徒手検査

前距腓靭帯の損傷では足首を底屈(下げる)や内返し時に痛みが出るのに対して、脛腓靭帯の損傷では足首を背屈(上げる)と痛みが出ます。足首を上に上げると脛骨と腓骨に離開する力が働き脛腓靭帯が刺激されます。

前距腓靭帯の損傷では普通に真っ直ぐ歩くだけならそれ程靭帯にストレスがかからない為に痛みが出ません。しかし脛腓靭帯の損傷では真っ直ぐ歩く、しゃがみ動作、階段昇降動作など足首が曲がるだけで脛腓靭帯に常にストレスがかかり続けるのでに中々治癒しにくいとされています。

脛腓靭帯の損傷を判断する一つの方法として外旋ストレステスト(External rotation test)があります。下の図の様に足首を回旋させると脛骨と腓骨の間が離開して脛腓靭帯にストレスがかかり痛みが誘発されます。

患者を椅子に座らせ膝を90°屈曲位にし、検者は片方の手で下腿の近位を把持し、もう一方の手で足関節中間位で足部を外旋させます。
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脛腓靭帯のエコー画像

脛腓靭帯は比較的太いが、薄い帯状の靭帯です。下のエコー像は下腿部を輪切りにした像で、画面の上がすね側、画面の下がふくらはぎ側です。矢印の正常な脛腓靭帯が2つの骨を橋渡しするように走行しています。
前下脛腓靭帯損傷・AITFL・足首の捻挫・エコー 

下図は脛腓靭帯損傷のエコー画像です。靭帯が上手く描出されず低エコーになっています。
前下脛腓靭帯損傷・AITFL・足首の捻挫・エコー 

下図は同一人物の良い方の足と悪い方の足を並べています。違いがはっきり分かります。
脛腓靭帯損傷・断裂・エコー 

重症例の場合、レントゲン撮影で脛骨と腓骨の間にスペースが確認されます。
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分類と治療

Gerberらは理学所見と画像所見から損傷の程度を

Grade1:不安定性なし
Grade2:ある程度不安定性あり
Grade3:明らかな不安定性あり

に分類しました。Grade1,2では脛腓間にストレスのかかる動作は極力控え。しっかりと固定し靭帯の自然修復を促します。Grade3は手術です。金属スクリューで脛骨と腓骨を固定し、術後8~12週程度でスクリュー折損のリスクを考慮して抜去します。

Grade1と2のスポーツ復帰までのロードマップ

受傷~4日(急性期)
・疼痛が強ければ固定・RICE療法・足関節自動運動・疼痛の無い範囲での荷重

4~14日(亜急性期)
・足関節自動運動・交代浴・全荷重・足関節抵抗運動・固有感覚トレーニング

2~4週(治癒期)
・トランポリン・トレッドミル歩行・ジョグとラン・スクワット・ジグザグステップ・8の字走行

4~8週(復帰)
疼痛なく30秒の繰り返し片足飛びができれば復帰を許可。不安があれば装具もしくはテーピングをさせて復帰。

個人的には4週で復帰できれば御の字で、完全復帰には実際もう少し時間(2~3ヶ月)がかかっている印象です。まぁ市民ランナーがロードのランニングで損傷はしないでしょう。もしするとしたらトレイルランニングでしょうか。それ以外では圧倒的にアメフトやラグビーで損傷するため、相当良くならないと全力でプレーできません。

兎に角、普通の足首の捻挫よりも治りにくいのでスポーツへの復帰は慎重に。

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スポーツによる足関節捻挫のうち10~20%が脛腓靭帯結合損傷であるといわれていますが、アメリカンフットボールでは75%、アイスホッケーでは74%と高い発生頻度が報告されています。ちなみに上図のエコー画像もラグビー選手です。

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参考文献
鈴木大輔,寺本篤史,渡邉耕太,名越智.遠位脛腓靭帯の解剖と機能.関節外科 2014;33:15-20
寺本篤史,渡邉耕太,鈴木大輔,山下敏彦.新鮮遠位脛腓靭帯損傷の病態とスポーツ復帰までの治療.関節外科 2014;33:76-80

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